ツライチはどんな意味?メリット・デメリット、作業方法や注意点を解説

ツライチ

ツライチは、車のカスタム方法の1つですが、ワイルドで迫力のあるルックスを実現できる魅力があります。

しかし、多くの方は「ツライチ」という言葉を聞いてもすぐには理解できません。

中には、ツライチという言葉を聞いたことがない方もいるでしょう。

この記事ではツライチとはどんな施工方法なのか、ツライチのメリットとデメリット、さらに自分でツライチ施工を行う際におすすめの方法について解説します。

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目次

ツライチとは?

ツライチ図解

ツライチとは、二つの面に段差がない状態を意味します。車のカスタムでは、フェンダーとホイール面の段差がなくなるように調整するカスタム手法とも言えるでしょう。

ツライチは、レーシングカーが可能な範囲で運動性能を高めるために、規定のボディサイズ内でより太いタイヤを履いてトレッドを広げる手法でした。

しかし、最近では、自分の車をよりかっこよく見せる「ドレスアップ手法」として多くの方から人気と注目を集めています。

特に輸入車は「ツライチ手法」を多く取り入れた車が多い傾向があり、外観の見栄えの印象が良い特徴があります。

対して、国産車は金属製のタイヤチェーン装着が前提となっているため、どうしてもホイールが内側に入る「ツラウチ」に設計せざるを得まない仕様になっています。

ツライチで車検は通るの?

結論から説明すると、ツライチ手法をした後でも車検は通ります。

車検の審査基準となる道路運送車両の保安基準は、タイヤホイールの直上からホイール中央を中心とした状態で「前方30°、後方50°の範囲」がフェンダーの鉛直面内に収まっていれば、問題ありません。

ただし、ツライチ手法によって低車高や八の字を描くネガティブキャンバーや引っ張りタイヤなどの極端なカスタムが実施されている施工方法では、車検に通らない可能性があります。

車検に通過する条件としては「安全な走行に支障をきたすと判断されるのか、判断されないのか」になります。

ツライチ手法を行い、車検基準を考慮した中で、安全な走行ができると判断されれば、車検をクリアすることは可能です。

また、2017年6月の保安基準改正により、タイヤの回転部分の突出禁止規定が見直しされ、10mmまでのはみ出しが認められるようになりました。

ツライチ図解

ただし、認められる条件としては、最外側がタイヤである場合に限定されます。

そのため、リムガードやオフロードタイヤのロゴやサイドブロックなどの、タイヤ側面に突に対する処置であり、ツライチホイールのはみ出しの規定を緩和するものではありません。

前側30°と後側50°の原則

ツライチ手法を行い、どんなに車をカスタマイズしようとも「前側30°、後側50°」の原則内に車が入っていれば、問題ありません。

車検にも審査基準があり、上記原則に基づいて、フェンダーの鉛直面内に収まっていれば、車検が通らないことを考えなくても良いでしょう。

「安全に支障をきたす」と判断されないことも、車をカスタムする際の「1つのルール」として認識することをおすすめします。

サイズ調整にはスペーサーが命

ツライチ手法により、サイズの調整時には「スペーサーが命」と言っても過言ではありません。

施工時にジャストフィットするホイールが見つかればよいのですが、適したホイールが見つからない場合には、ワイドドレッドスペーサーやアジャスタブルスペーサーを使用してミリ単位の調整が必要です。

そのため、ホイールの外に出したい量に合わせて、ワイドトレッドスペーサーとアジャスタブルスペーサーを使い分けることをおすすめします。

ツライチのメリット

注意

ツライチのメリットを3つ紹介します。

  • 見た目が良くなる
  • 安定性が増す
  • 自分好みのカスタムができる

見た目が良くなる

ツライチのカスタムを行うと、タイヤホイールが外側に出ることにより、車が大きく見えるため迫力が出ます。

さらに、車体とタイヤの一体感が増す効果もあるため、外観に手を加えていない状態でも、ツライチ手法を実施するだけで、見た目の印象がガラリと変化するでしょう。

愛車の見た目をより良い状態にしたい方には、最適な施工方法になります。

安定性が増す

ツライチでは、左右タイヤ間のトレッド間隔が広がるため、走行安定性も増す効果が期待できます。

さらに、タイヤ内側と外側の回転半径が広がることにより、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)の効き具合にも影響が出るでしょう。

ただし、極端なネガティブキャンバーで取り付けされたツライチ手法の場合、タイヤ性能を十分に発揮できずに、安定性も低下してしまう恐れがあります。

自分好みのカスタムができる

ツライチでは、自分好みに愛車をアレンジできるメリットもあります。

先ほども説明した通り、外観にカスタマイズを加えていない車であっても、ツライチを行うだけで見た目の印象が大きく変化します。

そのため、外観に少しアレンジを加えたい方や車の改造に多くの費用をかけたくない方にとっても、おすすめできる手法です。

ツライチのデメリット

デメリット

ツライチのデメリットも3つ紹介します。

  • 泥跳ねが増える
  • ハンドリングの悪化
  • 車体の破損や劣化

泥跳ねが増える

ツライチを行うと車が極端に汚れやすくなるデメリットが考えられます。

車が汚れる理由としては、タイヤが車の外側にはみ出したことで、跳ねた水や泥がインナーフェンダー内に収まらず、結果的にボディへの付着量が増えるためです。

そのため、ツライチ手法で車の印象はガラリと変化するかと思いますが、その分、車のお手入れにも時間をかける必要があるでしょう。

ハンドリングの悪化

ツライチ手法を行うと、ハンドリングが悪化するデメリットもあります。

通常、ノーマルのホイールオフセット値は、メーカーが設計して算出したものです。

そのため、ホイールオフセットを変更すると、ハンドリング特性に悪影響が出やすくなってしまいます。

とくに操舵機構があるフロント部分は影響を受けやすい傾向があります。

また、ツライチによりフロントタイヤのオフセットが広がると、操舵機構が外乱に弱くなる関係上、路面状態にも敏感になりやすいです。

結果的に、道路の凹凸にハンドルが取られてしまい、ハンドルが重くなる原因にもなりかねません。

車体の破損や劣化

ツライチの場合、走行環境によってタイヤとフェンダーがどうしても接触してしまいます。

そのため、フェンダーとタイヤが接触したことで、破損させてしまう可能性も高くなります。

また、ツライチ手法を行うために車高を下げたり、過度なネガティブキャンバーを付けたりすると、車体下回りの破損リスクはさらに高まります。

他にも、タイヤが偏摩耗を起こし早期の交換を迫られるなどの不具合も考えられるでしょう。

ツライチ手法による、メリットとデメリットの両方を理解しておく必要があります。

ツライチの注意点

注意

ツライチの注意点としては、まずタイヤホイールが外側にはみ出るため、走行性能に支障が出る可能性があります。

他にも、タイヤが片減りするため、設置面が極端にタイヤの内側に集中するドレスアップの場合には、内側が極端に減りやすくなります。

また、純正セッティングで出されている設置面の中心位置についても、ツライチ手法を行うと同時に内側になります。

そのため、ハンドリングやグリップ関係に大きな変化が生じる可能性も理解しておきましょう。

イメージとしては、車のバランスが崩れるという認識です。

ツライチの注意点を理解しつつ、自分が好むカスタマイズを行なってみてください。

ツライチ作業でおすすめする3つの施工方法

ツライチ手法として、おすすめする施工方法を3つ紹介します。

爪折り・爪切り

リアフェンダー内側の折り返し部分がタイヤに干渉する場合、折り曲げ処理をする必要があります。

この折り曲げ処理のことを「爪折り・爪切り」と言います。

ツライチを行う際には、どうしてもリアフェンダー内側の折り返し部分が干渉してしまう車があります。

干渉している部分があると、ツライチ手法を行う際の作業の邪魔になりかねません。

そのため、折り曲げ処理をする「爪折り」や、爪部分を切り取る「爪切り」と呼ばれる加工を行い、フェンダーとタイヤの干渉を防ぐ必要があります。

爪切りや爪折りの加工方法が必要になる車の特徴としては、比較的古い車に多い傾向があります。

近年の車は爪の幅が狭くなっているため、爪折りや爪切り加工はしなくても良い車も多いです。

引っ張りタイヤ

引っ張りタイヤとは、ホイールリムサイズに対して、細いタイヤを組み込んだタイヤのことを意味します。

引っ張りタイヤの役割としては、タイヤのサイドウォールを垂直ではなく、斜めにすることでフェンダーとタイヤを干渉しづらくします。

ただし、過度な引っ張りタイヤは、走行中にサイドウォールが破損してしまうことで、タイヤがパンクしやすくなります。

また、空気圧管理によっては、タイヤのバーストや脱落の危険性が増すなどのリスクも考慮する必要があるでしょう。

ネガティブキャンバー

ネガティブキャンバーとは、ホイールアライメントを調整して、ネガティブキャンバーを付けた状態でタイヤの設置角度を八の字にする施工方法です。

設置角度を八の字に近くするほど、タイヤとフェンダーが干渉しずらくなるメリットがあります。

また、ダブルウィッシュボーンやストラット、マルチリンクなどの左右独立式のサスペンションについては、車高を下げるほど、ネガティブ方向にキャンバー角が大きくなります。

しかし、トーションビームに代表される、左右が連結されたサスペンション形式は、車高を下げてもキャンバーが変化することはありません。

ただし、過度なネガティブキャンバーは、車の安定感を低下させたり、タイヤの偏摩耗を促進させます。

結果的に走行に支障が出やすくなることを、理解しておきましょう。

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ツライチについてよくある質問

ツライチとは何?

ツライチとは、フェンダーとホイール面の段差がなくなるように調整するカスタム手法です。

主にレーシングカーは運動性能を可能な範囲で高めるために使用される手法でしたが、近年では、車のドレスアップや走行性能を高めることで注目を集めています。

ツライチの作業を行う注意点は?

ツライチ手法を行う注意点は、タイヤホイールが外側にはみ出るため、走行に支障が生じることです。

また、タイヤが片減りするため、設置面が極端にタイヤの内側に集中するドレスアップを行う場合には、内側が極端に減りやすくもなります。

ツライチのことで悩んだらカミタケモータースへ相談してみよう

愛車にツライチ手法をを取り付けたいなど車に関するご相談ならカミタケモータースまでお問い合わせください。

枚方近郊で新車や未使用車を販売しているカミタケモータースは、車検や整備、さらに板金まで行っています。

またカーライフに伴うさまざまなご相談も承っています。ツライチ手法について気になることや相談したいなどのお悩みならぜひお気軽にお問い合わせください。

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