ガソリン車が販売禁止になるって本当?
いま話題となっている、
「近い将来ガソリン車が販売禁止になるらしい?」
というニュースについて。
ざっくりとまとめると、
日本では2030年半ば以降、ガソリン車の新車販売をゼロにし、
新車の100%を「電動車(※)」にすることを目指す方針
とのことです。
ここでいう「電動車」とは、
- 電気自動車(EV)
- ガソリンと電気の両方を使うハイブリッド車(HV)
- 外部充電もできるプラグインハイブリッド車(PHEV)
- 水素で発電しながら走る燃料電池自動車(FCV)
の総称で、純ガソリン車のみが販売規制の対象となるようです。
欧米諸国で次々と「脱ガソリン」に向けた政策が打ち出される昨今の情勢に鑑みると、日本でもガソリン車廃止というのは、時代の流れとして当然のことなのかもしれませんが、2030年半ば以降という期限に関しては、時期尚早なのではとの批判も少なからず出ているようです。
ガソリン車が禁止になる背景
2020年10月の第203回臨時国会において、日本政府は温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
また、カーボンニュートラルの一環として、菅義偉首相は2021年1月18日の施政方針演説にて、2035年までに新車販売を100%電動車とする方針を表明しました。
この背景にはパリ協定が大きく関係しています。
パリ協定とは、京都議定書の後継として定められた、2020年以降の気候変動に関する国際的な枠組みです。
先進国だけでなくすべての国と地域を対象に、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることを世界共通の目標として設定しています。この目標を実現するため、国際社会では世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。
東京はいち早くガソリン車禁止に?
東京都の小池百合子知事は、2020年12月8日の都議会で、
都内で販売されるガソリン車の新車について、乗用車は2030年までに、二輪車は2035年までにゼロにする方針を明らかにしました。
東京都は2019年に「ゼロエミッション東京戦略」を掲げ、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指しており、この計画の中で「ZEV普及プログラム(※PDF)」として、2030年のZEV(※)普及目標を50%としていますが、それに加えて今回の2030年のガソリン車の新車販売禁止を打ち出すことで、世界の「脱ガソリン車」の潮流を牽引したいという考えのようです。
走行時にCO2等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)のことです。
電気自動車の普及にはまだまだ課題あり?
世界的にEV化競争が激しくなる中で、今後日本でも電気自動車の普及が加速することが予想されますが、充電インフラや価格の問題など、日本での本格的なEV普及にはまだまだ課題があるのが現状です。
中でも一番の課題と言われているのが、充電インフラの整備です。
高速道路のサービスエリアや道の駅、コンビニ、ディーラーなどに設置されている急速充電スポットの数は、2020年3月末時点で全国に約7,800か所あります。
減少傾向にあるガソリンスタンドとは反対に、ここ数年で電気自動車の充電施設は増え続けています。
しかしながら、現状では電気自動車を充電するには急速充電で約30分の待ち時間が必要で、今後電気自動車の販売台数が急増すれば充電待ちが頻発する事態も予想されます。
また、公共以外の充電インフラでは、アパートやマンションに住んでいる、立体駐車場を利用している、設置スペースが確保できない、などの理由で自宅の駐車場に充電コンセントを設置できないといった問題も挙がっています。
海外のガソリン車禁止の状況は?
欧米を中心に世界各国では将来的にガソリン車やディーゼル車を販売禁止にするなどの政策が進められています。それらの動きを簡単にまとめてみました。
- イギリス
-
2030年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止。2035年までにプラグインハイブリッド車を含むハイブリッド車の販売も禁止に
- カナダ
-
2035年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止
- フランス
-
2035年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止。パリでは2024年までにディーゼル車を使用禁止に
- アメリカ
-
カリフォルニア州では2035年までにガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車(電池のみで走行可能な距離が80km未満のプラグインハイブリッド車を含む)の新車販売を禁止
- 中国
-
2035年をめどにガソリン車の新車販売を禁止して、全ての新車をハイブリッド車や電気自動車に
また、イギリスの自動車メーカーのジャガー・ランドローバーでは、高級車ブランド「ジャガー」のラインナップを2025年までにすべて電気自動車にする計画を、ドイツの自動車メーカーのメルセデス・ベンツグループでは、高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」の新車販売を2030年までにすべて電気自動車にする計画を発表しています。
日本の自動車メーカーのEV戦略は?
今年の7月1日、アメリカのテスラの株式時価総額がトヨタを超えて自動車業界一になったというニュースがありました。
世界的にEVシフトが本格化する中で、電気自動車メーカーであるテスラの将来性が、それだけ期待されているということなのでしょう。
世界各国の自動車メーカーがEVの開発を競ってシェア拡大を狙い、今まさに大転換期を迎えていると言える自動車業界ですが、日本の自動車メーカーはEV化に向けてどのような戦略を立てているのでしょうか。
日本を代表する自動車メーカーのトヨタでは、2030年の新車販売においてHVとPHVで約450万、EVとFCVで約100万台、合計約550万台を電動車とするという目標を2017年に発表しています。
さらに2019年には、当初の計画を上回るペースで電動化が急速に進んでいるとして、上記目標を5年前倒しにして、2025年に達成する計画としています。
またトヨタは、安全性が高く、EVの航続距離を劇的に伸ばすことができる「全固体電池」を採用したEVの実用化に向けて開発を進めており、2020年代前半には全固体電池搭載のEVを販売するとしています。
参考:EVの普及を目指して | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車の特徴を紹介
ガソリン車とハイブリッド車、電気自動車について、それぞれの特徴やメリットデメリットを簡単にまとめてみました。
ガソリン車の特徴
ガソリン車(純ガソリン車)とはガソリンエンジンのみを利用して動く自動車を指します。
初期費用を抑えたいという方には、車両価格の安いガソリン車がおすすめです。また、ハイブリット車とガソリン車の差額分をペイできるかという点で考えると、あまり距離を乗らないという方にもガソリン車がおすすめです。
- 車両価格が安い
- エコカーに比べて燃費が悪い
ハイブリッド車の特徴
ハイブリッド車(HEV、HV)は日本でいま最も普及している電動車です。
動力源としてガソリンエンジンと電気モーターの2つを搭載し、減速時のエネルギーを利用したりエンジンで発電機を回すことでバッテリーに充電される仕組みです。
また、外部から充電可能なハイブリッド車はプラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)と呼ばれ、電気自動車とハイブリッド車の長所を組み合わせた車として注目されています。
- 燃費が良い
- エコカー減税の対象
- 車両価格が高い
電気自動車の特徴
電気自動車(BEV、EV)は電気を充電してモーターで走ります。
電気だけで走るため、ガソリン車のようなエンジン音や振動がなくとても静かで、CO2を排出せず環境に優しい車です。
- 環境に優しい
- 静かな走り
- ランニングコストが安い
- 航続距離が短い
- 選べる車種が少ない
- 充電インフラ整備が十分とはいえない
知っておきたい電動車の補助金・税優遇制度とは?
プラグインハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車とガソリン車との負担額の差を縮め、販売を促進するために、国や自治体では「CEV補助金」や「エコカー減税」などの補助金制度や税優遇制度を設けています。
現在利用することのできる電動車の補助金・税優遇制度については、こちらの利用できる補助金制度等 | クリーンエネルギー自動車AtoZをご確認ください。