車にはトランスミッションという変速機が搭載され、エンジンの出力をタイヤに伝えています。オートマチックトランスミッション(AT)が普及してから、同じように操作できるCVT車が増えてきています。
小排気量の車を中心として、CVTを搭載する車が普及していますが、そもそもCVTはどのような仕組みでしょうか?この記事では、CVTの仕組みやATやMTとの違い、メリットやデメリットを解説します。
CVTのポイント
- 無段変速で滑らかに変速
- 燃費がよい傾向の変速機
- 軽量化に向いている
CVTとは?仕組みや特徴

画像引用元:Honda
車に搭載されるトランスミッションは、MT車(マニュアルミッション)か、AT車(オートマチックトランスミション)がありますが、近年普及しているCVT車にも種類があります。
- ベルト式CVT:ベルトを使った一般的なCVT
- チェーン式CVT:ベルトの代わりにチェーンを使ったCVT
- トロイダル式:プーリーの間にコマを使ったCVT
どの方式でも、無段変速でギアの切り替えがない構造になっています。
ベルト式CVT
ベルト式CVTは、金属ベルトを採用しており、プーリーの間に、薄い金属コマで構成されたベルトを使っています。このプーリーの締め付け度合いで、変速比が変換され、駆動力を伝える方式です。
シンプルな構造になっているのが特徴で、大きな変速比になっているため、一般的に採用されることが多いCVTです。
他の方式と比較して、ダイレクトな加速感にはなりにくいのが特徴。軽快な加速を求める場合には、他のミッションが採用されることがあります。
チェーン式CVT
チェーン式のCVTは、幅広いチェーンとプーリーを組み合わせたCVTです。金属ベルト式と同様に、径が変更されるプーリーとその間にあるチェーンの変速比が変化するトランスミッションです。
チェーン式CVTを採用しているのは、国産車はスバルやダイハツのFRやAWDの軽商用車になります。
伝達効率ではベルト式よりもチェーン式の方が優れていますが、音の問題やコストからベルト式の方が一般的になっています。
トロイダルCVT
トロイダルCVTは、他のCVTとは異なり、ベルトやチェーンではなくコマで変速します。2つのディスクとその間にあるパワーローラの傾きによって、変速比が変化します。
ローラの接触面には、薄いオイルの膜があり、駆動力を伝える仕組みです。通常のオイルでは滑ってしまいますが、圧力を受けると硬くなるオイルが採用され、円滑な動力伝達が可能になっています。
トロイダルCVTは、大排気量の乗用車やトラックなどにも採用できるタイプのCVTです。
ATとは?仕組みや特徴

AT(オートマチックトランスミッション)は、トルクコンバーターという流体によって動力を伝達する装置と遊星歯車機構を組み合わせたトランスミッションです。
ギアを使って変速を行いますが、アクセルを踏むと自動的にギアチェンジされていきます。マニュアルトランスミッションには、クラッチペダルがあり、ギアチェンジする度にクラッチを踏みます。
しかしオートマはクラッチペダルの操作なしで、自動的にギアチェンジできるため、AT車が普及しました。
ATには、通常の遊星ギアを使ったトランスミッションの他に、DCTやACTなどの種類があります。
DCTやACT
DCTやACTは、どちらもATのようにクラッチ操作をする必要はありませんが、よりマニュアルミッションに近いトランスミッションとなります。
DCT
DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)は、奇数段のクラッチと偶数段のクラッチが装備されています。それぞれのギアセットがあり、摩擦クラッチがどちらにつなぐかをコントロールするため、ギアチェンジの前にギアをつないだ状態にできます。
変速スピードが速いので、性能を重視する場合に適したトランスミッションです。遊星ギアを利用したAT車と比較すると、クリープ現象がないので渋滞時のようにゆっくり動く際にスムーズさに欠けます。
ACT
ACT(オートマチックマニュアルトランスミッション)は、トランスミッションの構造はマニュアル車と変わりませんが、シフトレバーとクラッチ操作を自動的に行うものです。
シンプルな構造になっており、伝達効率に優れたトランスミッションです。小型車から大型車まで対応できる技術で、歴史があるトランスミッションです。
自動でクラッチ操作をするので、「AGS」と呼んでいるメーカーもあります。アクチュエーターによる操作が追加されるのみなので、修理しやすいというメリットがありますが、変速ショックがあるのが懸念点です。
MTとは?仕組みや特徴

CVTの正反対ともいえるマニュアルトランスミッションについても、抑えておきましょう。手動変速機とも呼ばれるMT車は、ドライバーが手動でギアをチェンジします。
減速比が異なる歯車の組み合わせがあり、クラッチにより動力の伝達を切ってから、任意のギアにシフトしギアチェンジします。現在では、AT車が一般的になっていますが、ギアチェンジを楽しむスポーツカーや、特にマツダ車などにはMT車が残っている車種が多いです。
CVTのメリット
CVTのメリットは、AT車と比較すると、以下の点です。

- 変速ショックが少ない
- 低燃費を期待できる
変速ショックがないのでスムーズ
CVT車は、無段階変速とも呼ばれるので、変速ショックがないことが特徴です。AT車の場合はギアを変えるときには、どうしても変速ショックがあります。
ギアの数が増えると、変速がスムーズになりますが、ギアが変わるという点は変わりません。しかしCVT車はプーリーの径が変化して変速比が変わっていくため、大きな変速ショックはないので、乗り心地もスムーズです。
低燃費を期待できる
プーリーの径が変化するため、理論上では効率のよいエンジン回転数を維持できます。そのため、AT車と比較して低燃費を期待できます。
特に小排気量のエンジンを搭載した車なら、パワーを出しながらも燃費を維持できるので、効率的な変速が可能です。
CVTのデメリット

CVTのデメリットは、以下の通りです。
- 排気量が大きいと採用されにくい
- 加速がワンテンポ遅れやすい
排気量が大きいと向いていない
ベルトやチェーンを利用するタイプのCVTは、大排気量のエンジンには向いていません。金属のベルトを押しつけて変速比を変化させますが、ハイパワーに対応するためには、押しつける力を高める必要があるからです。
押しつける力を高めるためには、どうしてもロスとなるパワーが生まれるため、全体の効率は悪くなります。そのため、大排気量やハイパワーの車には、ATやDCTなどのようなトランスミッションが採用されるケースが多いです。
加速がワンテンポ遅れやすい
CVT車はどうしてもアクセルペダルを踏んでから変速するまでに、ワンテンポ遅れると感じることがあります。
変速機構自体は変速がないのですが、燃費をよくするための設定になっていると、比較的ゆったりとした変速になっていることが多いです。
構造からしても、プーリーの径を変化させてから、変速比が変わってきます。もし変速が遅いと感じるなら、SレンジやBレンジに入れてから加速するとよいでしょう。
ATとの違い

AT車との違いも比較していきましょう。
変速ショックがない
AT車と比較して、変速ショックが少ないのは大きなメリットです。特に小排気量のエンジンを搭載した車の場合は、ATのギア数が少ないことが多く、変速の際に大きなショックがありました。
特に軽自動車は4速ほどしかない車種もあり、発進して変速するときにショックがあるのも一般的でした。しかしCVTが採用される車が増えてくると、軽自動車でも変速ショックがないため、スムーズに走行できます。
クリープ現象がない
CVTはトルクコンバーターを使用していないものもあり、クリープ現象がない車種もあります。一般的に採用されているCVTは、構造上クリープ現象がありますが、どれも強制的にクリープ現象を再現しているのです。
クリープ現象が再現されている車種であれば問題ないですが、クリープがない車種であれば乗り換えたときに違和感を感じる方もおられるでしょう。しかし近年のCVT車は、違和感なく乗れる車種が多いです。
CVTは故障しやすい?
CVTが普及した当初は、CVTは故障しやすいというイメージがありました。メンテナンスが不要なミッションとして作られていますが、どうしてもスチールベルトの耐久性が懸念点となっていました。
しかし近年のCVTは、スチールベルトの強度が高まっていますし、フルードを定期的に交換することでベルトやプーリーの摩耗も抑えられています。
そのため、CVTだからといって特別故障しやすいということはありません。もちろん機械部品なので、定期的なフルードの交換は欠かせません。
各メーカーのCVTに対する考え方も異なり、フルードは無交換とされているメーカーもあります。一種のオイルであることは変わりませんので、CVTフルードの交換が必要かどうか、経験のある整備士と相談してみるのをおすすめします。
CVTが故障する前兆は?

CVTが故障する前には、前兆となる症状が発生することがあります。不調のまま乗っていると、調子が悪くなり走行できなくなるでしょう。前兆が発生したなら、早めに点検することをおすすめします。
1:異音が発生する
人によって音の聞こえ方が異なりますが、「ゴトゴト」や「ゴー」などのような音です。正しいミッションの音の可能性もありますが、正常時と比較して大きな音であれば、異音の可能性も高いでしょう。
異音が発生しているということは、金属同士が摩耗している可能性があります。そのまま放置していると、さらに不具合が発生するでしょう。もし平常時よりと異なる音が発生しているなら、整備工場に診てもらうことをおすすめします。
2:振動が発生する
CVTから振動が発生することもあります。ジャダーとも呼ばれる振動が、ミッション付近から発生し、ハンドルに伝わってくることもあります。
これらの振動は、変速が行われるときに発生しやすいため、加速時などに注意しておくとよいでしょう。
3:変速ショックがありスムーズに変速できない
変速ショックがあり、スムーズに走行できないことも前兆となります。Dレンジでの変速の不具合だけでなく、Rレンジに入れたときなどに大きなショックが発生することもあるでしょう。
また不具合が発生し始めると、アクセルを踏んで加速するときに通常とは異なる変速ショックが起きることもあります。
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よくある質問
CVTとは?
CVTとは、金属ベルトなどとプーリーを組み合わせた無段変速のトランスミッションです。エンジンを効率よく回転させられるので、小型車を中心として普及しているトランスミッションです。
CVTのメリットは?
燃焼効率がよい回転数を維持しやすいので、低燃費を期待できます。また、変速ショックがないので、快適に乗車できるのも特徴です。
