高速道路などでの逆走は、増え続けていないとはいえ一度起きると重大な事故につながることがあり、話題になることがあります。
逆走しないように設備が設置されていますが、それでもミスから発生してしまうこともあるからです。そこでこの記事では、高速道路で逆走してしまう理由や正しい入り口の見分け方、さらに逆走車を見かけたときの対処方法を解説します。


高速道路での逆走事故とは何か?

逆走は危険な行為で、多くの場合、標識や道路の案内表示を見落とすことがきっかけとなっています。
例えば、インターチェンジ(IC)やジャンクション(JCT)周辺で、目的の出口を通り過ぎたり、本線への分岐点を間違えたりすると、ドライバーが慌てて無理なUターンをしてしまうことがあります。また、料金所での進入口と出口の間違いや、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)での入口と出口の混同も、逆走を誘発する原因です。
ドライバーが無意識に逆走を続けるケースも少なくありません。これは、間違った道に戻ろうとする意図から起こることが多いです。
国土交通省のデータによると、逆走の要因として道間違いが原因となった逆走が全体の6割になり、残りの4割は認知症の疑いなど、認識がないものです。
最近では、カーナビゲーションの指示に頼りすぎることが、逆走の一因として指摘されています。特に高速道路では、ナビの指示だけでなく、自分の目でしっかりと案内標識を確認して進むことが重要です。
逆走事故の原因

高速道路で逆走が起こる原因は、大きく3つに分けることができます。
- 故意によるもの
- 判断力の低下
- 認知機能の低下
故意による逆走
故意によるものは、誤ったルートを走行してしまい、元に戻るために故意的に逆走するものです。
たとえば、目的地のインターチェンジ(IC)を通り過ぎてしまったり、ジャンクション(JCT)での分岐を間違えたりした場合、本来のルートに戻ろうとして故意に逆走することがあります。これは意図的なものが多いですが、過失で高速道路に間違って侵入してしまい、結果的に逆走してしまうケースもあります。
進行方向が定まっている高速道路や自動車専用道路ではあり得ないと感じるものですが、実際に生じるケースがあるのです。
判断力の低下
判断力が低下して、進行方向に対する適切な判断ができない結果として、逆走することがあります。
これは過失によるもので、一般的なパターンです。たとえば、ICの料金所に入る際に、出口方向から誤って入ってしまうことがあります。標識や案内が周囲にありますが、注意が散漫になっていると、気がついたときには既に逆走してしまっているということも。
判断力が低下する理由に、年齢ゆえの判断力やスピードの衰えの他に、夜間や悪天候などの視界の不良があります。
見えづらかったとしても標識や案内を見て判断する必要があります。車の安全装備を活用しながら正しい判断ができるようにしましょう。
認知機能の低下
高齢ドライバーの場合、認知能力の低下が逆走の原因となることがあります。通常、過失であればすぐに気づくはずですが、認知機能が低下していると、自分が逆走している事実に気づかず、長距離逆走してしまうことがあります。
進入口に面したときには、それが出口であると認識できる案内になっているものです。しかし認知機能が低下していると、出口やSAやPAからの本線への合流口ではなく、逆方向に走行してしまうのです。
運転者ができる逆走防止策

正しい高速道路の入り口の見分け方
高速道路での安全運転には、逆走を防ぐための工夫がいくつか施されています。合流箇所にはラバーポールが設置され、路面には矢印の表示があります。また、進入禁止の看板も設けられているので、これらの標識や表示をしっかりと確認して、常に正しい方向で運転することが大切です。
特に長距離の運転では疲労が蓄積されやすく、気が散ってしまうこともあるため、見慣れた標識であっても見落としてしまうことがあります。これが逆走のリスクにつながることもありますので、定期的に休憩を取ることが重要です。
運転中は、しっかりと標識を確認し続け、集中力を維持することで、逆走のリスクを減らしましょう。安全な運転を心掛けることが、自分自身だけでなく、他のドライバーの安全にも繋がりますので、注意深く運転してください。
逆走を未然に防ぐための運転テクニック
逆走を防ぐために、自分が運転している方向があっているのかよく見るようにします。道路上の矢印や標識をよく確認して、本線に合流する前に間違いがないか確認しましょう。
また一般道路から高速道路に進入したいときには、標識通りに運転して確認します。
高速道路を運転中、目的のインターチェンジ(IC)を通り過ぎてしまったことに気付いたら、焦らずに次のICまで進みましょう。そこで「特別転回」という便利な制度を利用することができます。これは追加料金なしで、間違えたICに戻れる制度です。
次のICで一般レーン(有人ゲート)に入り、ゲートの係員に「目的のICを間違えた」と伝え、ETCカードを提示します。ETCを使っていない場合は、通行券に特別転回の承認印をもらう必要があります。
その後、料金所を出て安全にUターン。再び高速道路に入る際は、ETCカードは車載器から抜いた状態で、有人ゲートの係員に再度事情を説明します。ETCを使っていない場合は、先ほどの通行券を再提示しましょう。
この方法で、余計な料金を支払うことなくスムーズに目的のICへ戻ることができます。ただし、ICの構造や料金所の状況によってはこの制度が利用できない場合もありますので、その都度、係員の指示に従うことが大切です。
焦らずによく確認しながら運転すれば、逆走を防げるでしょう。
高速道路管理者による安全対策

逆走警告システムの導入事例
逆走防止のためにさまざまな取り組みが行われています。道路には情報板の軽初や休憩施設などに、逆走防止を呼びかける映像の放映が行われています。
これらの他に、ラジオなどで逆走防止を呼びかける活動が行われているので、ドライバーへの啓発となるでしょう。
道路によっては逆走車を検知したときに警告表示するシステムが導入されています。
高速道路の案内・標識
高速道路には、大型の矢印路面標示の他、ラバーパールや高輝度矢印板など、ドライバーの視認性を向上させる設置物があります。
運転していると目に入るところに、矢印が掲げられているので逆走を防止してくれるでしょう。
逆走事故に遭遇したときの対処法

逆走車両と遭遇した場合の安全対策
走行中に逆走車の情報を耳にしたら、まずは安全第一で速度を控えめにしましょう。そして、前方の車とはしっかり車間距離をとって走行することが大切です。特に、追い越し車線ではなく、走行車線を使うようにしましょう。
その理由は、逆走車は追い越し車線を使う傾向があるからです。日本では通常、左側通行ですので、もし車が片側2車線道路を逆走すると、その左側車線が高速道路でいう追い越し車線になります。
逆走車を実際に目撃した場合は、パニックにならずに冷静に行動しましょう。衝突を避けるためにも注意深く運転し、安全な場所で速やかに110番または#9910に通報して、道路管制センターに状況を伝えることが重要です。
この対応が、自分自身だけでなく他のドライバーの安全にもつながりますので、しっかりと心掛けてください。
通報方法
逆走車を目撃したら、対応は迅速に行いましょう。同乗者がいる場合は、その場で110番通報をお願いして速やかに通報します。一人で運転している場合は、次に訪れるサービスエリアや、最寄りの非常電話を使って道路管制センターに連絡を取るか、料金所のスタッフに逆走車の情報を伝えてください。
非常電話はとても便利で、受話器を取るだけで自動的に管轄の道路管制センターにつながります。通報することにより、逆走車の情報が道路情報板やハイウェイラジオを通じて広く発信され、他のドライバーに対する注意喚起が行われます。
このように迅速に行動を起こすことで、自分と他のドライバーの安全を守る手助けになりますので、落ち着いて正確に情報を伝えましょう。
逆走事故根絶に向けた取り組みで安全運転を!
逆走は大きな事故を誘発する可能性がある危険な行為です。判断力が鈍っていたり、認知していないことから、誤進入して逆走してしまうことがあります。
自身が逆走しないように、案内をしっかり確認するだけでなく、逆走車を発見してときには適切に通報をしていきましょう。安全運転を心がけることで、逆走を少なくできます。

