結局ハイブリッドってどの仕組みがおすすめ?整備士2人と本音で語る「ホンダ・トヨタ・日産」の違いとは

ハイブリッド 比較

近年主流になってきているハイブリッド車。以前と比較しても、ハイブリッド搭載モデルを選ぶ方も増えてきています。しかし実は一口にハイブリッドといっても、メーカーによって仕組みが異なるのはご存じだったでしょうか?

ハイブリッドって、結局どれがいいの?

今回はその答えを探るべく、整備士の2名とともに、ホンダ・トヨタ・日産、3メーカーのハイブリッド車を乗り比べてみました。

目次

そもそもハイブリッド車とは?

シエンタ ハイブリッド

画像引用元:トヨタ

ハイブリッドの仕組みと特徴

「ハイブリッド」という言葉には「異なるものを組み合わせる」という意味があります。ですので、ハイブリッドカー(ハイブリッド車)というのは、簡単に言えば「複数の動力源を持っている車」のことを指します。

なかでも一般的なのは、ガソリンで動くエンジンと、電気で動くモーターの両方を搭載しているタイプです。この2つの動力を状況に応じて使い分けることで、効率よく車を走らせることができるのが大きな特長です。

たとえば、走行速度が低いときや、ストップ&ゴーの多い市街地では、モーターだけで静かに走行します。逆に、高速道路などで一定の速度を保って走るような場面では、エンジンが主に使われます。

このように、ガソリンエンジンが不得意とする低速時の燃費の悪さを、電気モーターでうまく補っているわけです。後ほど紹介するハイブリッドシステムの違いにより、ガソリンエンジンで発電して、モーターのみによる駆動のタイプもあります。

カミタケチャンネル!からワンポイント

6割がハイブリッド時代。その理由は「家計と未来」

まず前提として、ハイブリッド車は今や新車販売の約6割を占めるほど人気のカテゴリとなっています。その背景には、ガソリン価格の高騰、燃費性能によるランニングコストの軽減、そして将来的な電動化政策があります。

実際に燃費比較してみたんですが、ガソリンのオデッセイではリッター8km台だったのが、ハイブリッドに替えたら16〜17km/Lになりました。

倍やん! それは家計に優しい…

政府としても2035年までに新車のガソリン車販売を終了し、カーボンニュートラルに向けた電動化を推進しています。とはいえ、EV(電気自動車)にはまだ不安も残ります。

充電スポットが少ないし、バッテリーの負担やコストも大きい…

そうなると、“いいとこ取り”のハイブリッドが今ちょうどいい、ってことになるわけです」

メーカー別|ハイブリッドの違い

ハイブリッド 試乗

そんな裏話も飛び出しつつ、今回の試乗車はこちらの3台。

・トヨタ「ヤリスクロス」ハイブリッド
・ホンダ「ヴェゼル」e:HEV
・日産「ノート」e-POWER

一見すると車格もジャンルも異なる3台ですが、「メーカーによってハイブリッドの仕組みはどう違うのか?」という視点で並べてみると、非常に興味深い比較になります。

メーカーでこんなに違う!? ハイブリッドの仕組みを整理しよう

ハイブリッド車とひとくくりにしても、実はメーカーごとに仕組みや考え方が異なります。

大きく分けて以下の3タイプが主流です。

・シリーズ方式(日産のe-POWER)
→ エンジンは発電専用。走行はモーターだけで行う
・パラレル方式(トヨタのTHSなど)
→ エンジンとモーターが状況に応じて走行を分担
・シリーズ・パラレル方式(ホンダのe:HEV)
→ 基本はモーター走行、状況次第でエンジン駆動にも切り替え

え、そんなに違うの?

そうなんです。だから“燃費がいい=同じ技術”と思ったら、それは大間違い

この違いが、走行フィーリング、発進時のレスポンス、街乗りのスムーズさにしっかり影響してきます。実際に乗って比べると、「これ全然ちゃうやん」となるポイントが山盛りなのです。

日産

ハイブリッド 試乗

さて、まず試乗したのは日産ノート e-POWER。このモデルに搭載されているのは「シリーズ式」と呼ばれるハイブリッドシステムで、エンジンはあくまで発電専用。実際に車を動かすのはモーターだけ、という割り切った設計です。

走行中、アクセルを戻すと、車がスッと減速していきます。これが「回生ブレーキ」と呼ばれる仕組みで、減速時のエネルギーを電気に変換してバッテリーに戻してくれるのです。

めっちゃ効きますね、ブレーキ踏まんでも止まる!

ハイブリッド 試乗

ワンペダル走行は、慣れるとかなり快適です。特に渋滞時や街乗りでは、アクセル操作だけで加減速ができるため、ドライバーの疲労軽減にもつながります。

これ、もはや“電気自動車”の乗り味ですね

実際に乗ってみて意外だったのが、「エアコンの効き具合」。特に猛暑日などでは、エアコン性能が乗り心地に大きく影響しますが、ハイブリッド車ではここに意外な差が出ることも。

ハイブリッド車のエアコンは電動コンプレッサーを使っていることが多く、冷房効率が車種によって大きく異なります。

暑い日にレンジの中みたいに熱こもってたら、意味ないですやん…

その点、ハイブリッド車の場合は電気でも動くので、エアコンの効きが良いことが多いのも特徴。

アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスは驚くほど滑らかで、音もなくスッと前に出る感じはまさにEVそのもの。加えて、独特の“回生ブレーキ”もe-POWERの大きな特徴です。

エンジンかかってるんですけど、正直まったく分かりません

実家の30系プリウスとはえらい違い。あれ、エンジンかかるとゴンッてなるからね(笑)

エンジン始動時のショックがなく、走行中も一貫してなめらか。これは“シリーズ式”ハイブリッドならではの特徴で、モーターだけで駆動しているからこそ生まれる感覚です。

ハイブリッド 試乗

後部座席でもその静かさは健在で、同行者からはこんな声も。

めっちゃ眠いです…静かすぎて

確かにこれは“移動するリビング”やわ(笑)

ただし、気になる点もあります。たとえば、発電のためにエンジンが長時間稼働すると、燃費が落ちやすい傾向があります。

発電しっぱなしやと、燃費がガクッと落ちることもありますね

あと、加速でグイッと踏みがちな人も注意かも

一方で、軽くアクセルに足を添えるだけでしっかりとしたトルク感を得られるため、街乗りや渋滞路では非常に扱いやすい印象です。

ノートe-POWERの第一印象をひとことで言えば、「街乗り特化の快適モデル」です。発進の静かさ、ワンペダルの快適さ、操作性のシンプルさなど、日常の移動に最適な設計が随所に光ります。

ただし、夏場のエアコンや高速域での伸びなど、使用シーンによっては注意が必要な点も。

通勤とか買い物メインの人にはめっちゃ向いてると思います!

逆に、真夏のレジャーや高速移動が多い人は、次のトヨタやホンダも見てみたいところですね

ホンダ

ハイブリッド 試乗

次に乗り込んだのはホンダ ヴェゼル e:HEVです。

シートに座り、シフトノブを握った瞬間に感じたのは、明らかに“異なる乗り味”。

お、これ、シフトの感触からして全然違いますね

ハイブリッド 試乗

ホンダのe:HEVは、普段はモーター駆動ですが、高速巡航時には効率の良い回転数でエンジン駆動に切り替わるのが特徴です。

実際に走り出してみると、その“自然な加速感”が際立ちます。ノートにあったような「いかにも電気で走ってる感」は少なく、ガソリン車に近いフィーリングです。

これ、言われなかったら普通のガソリン車だと思うかもしれません

エンジンの音も“車らしい”って感じやね

ハイブリッド 試乗

また、ブレーキのタッチにも明確な違いがありました。

ノートはワンペダルで止まるけど、ヴェゼルはちゃんとブレーキ踏むタイプですね

このあたりは“運転する人”と“同乗者”で評価が分かれるポイントかもしれません。電動感を求めるならノート、自然な操作感を好むならヴェゼル、という住み分けが見えてきました。

外気温38℃という厳しい条件の中、再び注目したのがエアコン性能です。

一応ローの最大強度でつけてますけど…うーん、ちょっとぬるい?

さっきのノートの方が冷たかった気がするなあ

これは電動コンプレッサーや冷却方式の違いによるもので、同じハイブリッドでも“冷房効率”にバラつきがあるのは確かです。

ホンダ ヴェゼル e:HEVの魅力は、その自然なドライブフィールと分かりやすい操作感にあります。ハイブリッド特有のクセをあまり感じさせないため、「初めてハイブリッド車に乗る」という方にも親しみやすいでしょう。

これは“違和感なく乗れるハイブリッド”ですね

車に詳しくなくても、“あ、いい車やな”って思えるはず

トヨタ

ハイブリッド 試乗

最後に試乗したのは、トヨタ ヤリスクロス ハイブリッドです。この車は、ハイブリッド車の“代名詞”とも言えるトヨタが送り出す最新世代のTHSⅡ(トヨタ・ハイブリッド・システム)を搭載しています。

乗り込んでまず感じたのは、エアコンの冷却性能の高さでした。

ハイブリッド 試乗

ノートよりも、ヴェゼルよりも、体感的に一番ひんやりしてるかも

このあたりの快適性の高さも、トヨタらしい抜け目のなさといえるでしょう。

いざ発進してみると、その走行フィールは“とにかく滑らか”の一言。

エンジンかかった時の音、ほとんど気づかないレベルですね

あえて“音”出してるかと思うぐらい、控えめに存在を感じるくらいで

実際、ヤリスクロスには「車両接近通報装置」が用意されているほど。トヨタは“静かすぎるクルマ”に対しても気を配っているのです。

ブレーキフィールにも注目です。ヴェゼルと同じ感覚で踏むと、ちょっと驚くほど効いてしまいます。

ハイブリッド 試乗

ヴェゼルの感覚で踏んだら、ガクッと止まりますね!

メーカーごとのセッティング差、ここでめっちゃ感じました

この繊細なセッティングも含めて、ヤリスクロスは「万人受け」を徹底して目指した一台であることが伝わってきます。

ヤリスクロスは、ノートやヴェゼルほど“尖った個性”を見せるわけではありません。しかしその代わりに、「静か」「燃費がいい」「乗り心地がいい」といった基本性能のすべてが高水準でバランスされています。

強烈な個性はないけど、逆にそれが安心感

最初の一台にもちょうどいいんじゃないかな

まず、トヨタ ヤリスクロス。一言でまとめるなら、「良い意味での“普通”」です。走りにクセがなく、誰でも安心して運転できる完成度の高さはさすがの一言。

ステアリング、ブレーキ、アクセルすべてが素直

面白さは控えめだけど、信頼感が抜群ですね

実際、ヤリスクロスは“誰にでも合うクルマ”として仕上がっており、ドライビングにストレスがありません。各ドライブモード(エコ、パワー、EV)もシーンに合わせて活用できる設計で、燃費と快適性のバランスに優れたモデルといえるでしょう。

ハイブリッド車の選び方|重視すべきポイントとは?

燃費・維持費のコスパで選ぶ

燃費や維持費の面では、ガソリン車とハイブリッド車の価格差があるとはいえ、ハイブリッドを選択するのがおすすめです。近場しか走行せずに、年間の走行距離も少ないのであれば、あえてガソリン車を選択するのもよいでしょう。

しかしハイブリッドはモーターによるアシストが力強いですし、そもそもハイブリッド専用車種もあります。低燃費で走行できるため、燃料コストを削減したり、エコカーによる恩恵を受けることも考えても、ハイブリッドはおすすめです。

カミタケチャンネル!

今回の比較ではあえて“デメリット”にも触れておきます。ハイブリッド車で唯一と言えるリスクがメインバッテリーの劣化と交換費用です。

EVモードを多用しすぎると、バッテリーへの負荷が増えるんです

うちのプリウスも、EVばっか使ってたらバッテリーやられてもうた…

バッテリー交換には10万円〜20万円ほどかかるケースもあるため、使い方のバランスは非常に重要です。特にEVモードは、「深夜にエンジン音を立てたくないとき」など、用途限定で使うのが賢明です。

走りの性能・乗り心地で選ぶ

走行性能や乗り心地でもハイブリッドの車を比較できます。今回の試乗で比較したように、各メーカーのハイブリッドには性能の違いはもちろんのこと、乗り心地の違いもあります。

スムーズで近未来的な走りなら日産のe-POWER、走りの気持ち良さならホンダのe:HEV、そして安定の走りならトヨタのTHSⅡのようにメーカーによる乗り心地が選択できます。

これは自分の好みになるので、実車を試乗して選択するのがよいでしょう。

用途別の選び方

車を使う用途が決まっているならハイブリッドを搭載したモデルがあるかという点が、選択を左右することもあるでしょう。しかし各メーカーの複数のジャンルでハイブリッドを搭載したグレードが展開されているので、用途に合った車を見つけることはできるでしょう。

しかし一部の車には、ガソリン車のみの展開となっていることもあります。事前に自分が考慮している車にハイブリッドモデルがあるか確認しておきましょう。

カミタケチャンネル!

結局ハイブリッドってどの仕組みがおすすめ?

今回比較した3台を比べてみると、それぞれの性格がはっきりと浮かび上がってきます。

結局どれがベストなのかというその答えは、“使う人のスタイル”によって変わります。

•旅行など長距離移動が多い方にはトヨタ ヤリスクロス
•近所の買い物や街中の移動がメインなら日産 ノート
•運転を楽しみたい、走りにこだわる方にはホンダ ヴェゼル

スポーツ好きの僕たちは、今回ホンダにちょっと肩入れしちゃったかも(笑)

でも実際は、どの車も“方向性の違う優等生”です

スクロールできます
車名ハイブリッド方式特徴向いている人
ノート e-POWERシリーズ式(EV風)モーター感強め、静か、ワンペダル操作通勤や街乗りがメインの方
ヴェゼル e:HEVシリーズパラレル(応用型)滑らかで自然、エンジン感が残る運転感覚車好き・運転が好きな方
ヤリスクロスパラレル+シリーズ併用型全体的にバランスが良く、快適性も高い初心者や安心感を求める方

ノートは“モーターで走る感”が濃くて新鮮
ヴェゼルは“スポーティーでダイレクト”。操作が楽しい
ヤリスクロスは“ちょうどいい”の代表格。信頼性が際立ちました

「どれを選べばいいかわからない」という方には、短時間の試乗やレンタカー利用がおすすめです。

普通車なら6時間からレンタルできます。1回乗ってみると、スペックだけじゃ分からなかった“感覚”がはっきりしますよ

いまやハイブリッドは“燃費だけの選択肢”ではありません。乗り味、使い勝手、気持ちよさ、というそれぞれのバランスを自分で確かめることが、後悔しない選び方につながります。

ぜひまずはレンタカーで各メーカーのハイブリッドの違いを実感してみてください。

エコレンタカーWEB予約
目次