自動車保険では、等級が設定されており、等級が保険料を左右します。保険を使うと等級がダウンして、翌年の保険料が高くなります。
これを3等級ダウンと呼びますが、このようにして事故を起こした場合には保険料が調整されるようになっているのです。その一方でノーカウント事故と呼ばれるものがあります。保険を使ったとしても等級に影響しないものです。
ノーカウント事故とはどのようなものでしょうか?等級に影響する事故との違いや保険料について解説します。
ノーカウント事故のポイント
- 等級に影響しないのがノーカウント事故
- 特約を利用した場合も含まれる
- 第三者による事故で等級が下がらないようにする制度
ノーカウント事故とは何?
ノーカウント事故とは、保険金を請求して補償を受けたとしても等級に影響が出ない事故のことを意味しています。
通常の事故が発生して保険金を請求すると、翌年から等級が下がって保険料が上がります。このようにして、事故を起こした人と無事故で運転している人の差を少なくしているのです。
ノーカウント事故なら等級に影響しないので、気兼ねすることなく保険請求ができるでしょう。ノーカウント事故になる事例は異なっているので、事前に確認が必要です。
等級が据え置きになるノーカウント事故の特徴
ノーカウント事故は、翌年からの等級ダウンにならない事故のことを意味しています。
ノーカウント事故の条件
ノーカウント事故になる例は、以下のものです。
- 被害者救済費用特約
- 人身傷害保険
- 自動車事故特約
- 自転車・車椅子・ベビーカー等傷害定額特約
- 無保険車傷害特約
- レンタカー費用特約
- 搭乗者傷害特約
- 弁護士費用補償特約
- ファミリーバイク特約
- 日常生活賠償特約
- 車両保険無過失事故特約が適用された場合
- 自動運転中の事故
ノーカウント事故となる例について、さらにみていきます。
ファミリーバイク特約
ファミリーバイク特約は、バイクを運転していたときに起こした事故で使用します。125ccまでのバイクやミニカーで事故を起こした場合に、補償を受けられるものです。
自動車保険に付帯している特約で、複数台のバイクにも適用できます。バイクに乗っているときの事故も、ノーカウント事故となるので等級には影響しません。
搭乗者傷害事故
契約者傷害保険は、契約車両で運転している運転手、さらに同乗していた方が死亡したり、怪我をしたりするときの補償です。
人身傷害保険と似ている部分ですが、定額が即時に支払われるということもあり、安心して利用できる保険です。この搭乗者傷害保険を利用する事故の場合も、ノーカウント事故となります。
人身傷害保険事故
人身傷害保険事故は、契約車両を運転していた運転者や同乗者が死亡したり、怪我を負ったときの補償ができるものです。
入院や通院が長引いて医療保険でカバーできないときや後遺障害による逸失利益、休業損害などを補償してくれる保険です。
無保険車傷害特約事故
無保険車傷害特約事故は、事故の相手が保険に加入しておらず、保険金が支払われないときや保険金額が損害賠償額に足りないときに補償されます。
不足する金額が補償されるので、自賠責保険や相手方の自動車保険の合計金額から不足している分が支払われます。
その他に当て逃げやひき逃げという事故相手が不明なときでも補償されるものです。
弁護士費用特約事故
弁護士費用特約は、損害賠償請求などで相手方と交渉してもらうために弁護士に依頼する費用をカバーするものです。
自分の過失がない場合の事故なら、保険会社が加害者と交渉できない決まりになっています。しかし素人が交渉するのは難しいので、弁護士に依頼して交渉してもらうのです。
相手方から提示されている賠償額の妥当性や自分の意向を汲んだ交渉ができるので、安心して依頼できるのが特徴です。
個人賠償責任特約事故
個人賠償責任特約は、日常生活において他の人を怪我させたり、自転車で誰かを怪我させたりした場合に適用できます。
その他に人のものを壊したり、怪我をさせて賠償責任が発生したときに補償してもらえます。保険金を請求したときもノーカウント事故です。
ノーカウント事故のメリット
ノーカウント事故は、保険会社に保険請求しても等級ダウンがなく、翌年の保険料が上がる心配がないという特徴があります。保険請求することで、翌年への影響が気になることもありますが、ノーカウント事故なら気にすることなく、保険請求できるでしょう。
さらに請求しても大丈夫という安心感があるなら、長期的に見たときに安心感をもたらしてくれます。事故が起きても保険料が高くなるので、請求できないという事態を防いでくれるでしょう。
ノーカウント事故に含まれる特約の中には、除外しておくと保険料を抑えられるものもあります。
しかし万が一のときに補償してくれる安心感があるので、どのような特約をつけておくとよいのか検討しておくとよいでしょう。短期的に見たときに保険料が安いかもしれませんが、実際に保険請求が必要なときに補償がないと、トラブルに見舞われることもあります。
日常生活や交通事故でトラブルにあったときに安心できるように、特約の内容を見直してみるのもよいでしょう。
保険を使う事故は3等級下がる
自動車保険では、等級という仕組みがあります。保険を使わなければ1等級上がっていき、保険の割引率が変わっていきます。
保険制度には1等級から20等級があり、新規契約すると6等級からのスタートです。そして保険を使う保険事故が起きると3等級下がっていきます。
保険会社はリスクに応じて保険料を設定する「ノンフリート等級別料率制度」を採用しています。保険を使わないなら保険料が安くなり、事故を起こすほど保険料が高くなるのです。
保険等級が3等級下がるのは、以下のような事故です。
- 対人賠償保険を使う事故
- 対物賠償保険を使う事故
- 車両保険を使う事故
3等級下がる事故の他に、1等級下がるものがあります。
1等級ダウン事故は、以下の例があります。
- 盗難
- 落書き
- 台風
- 飛来物との衝突
1等級ダウン事故は、偶発的に起きるものが多く、過失というよりもその場にあったから起きた被害となります。
車両保険を使うと等級は下がってしまうので、自費で修理をするのか、それとも保険を使って修理するのか検討しておくとよいでしょう。
ノーカウント事故がある理由
そもそもノーカウント事故というものが設定されているのには理由があります。契約者に責任がないのに賠償責任が発生したり、被害を受けたときに補償されます。
保険金が支払われるような事故があると、保険料が上がることによって公平性を保っています。しかし傷害保険には等級という考えはなく、損害賠償保険と車両保険が等級に影響を与える要素です。
一度等級が3等級ダウンしてしまうと、元の状態に戻るためには4年かかります。このような状態では保険を使うのか検討してしまうケースもありますが、ノーカウント事故があるので保険金を受け取りながらも、翌年からの保険料が上がらないというメリットがあるのです。
ノンフリート等級料率制度が導入されて、保険金の請求があるのかによって保険料が変わるようになったのです。
自分に責任がない事故で保険金を請求しても保険料が上がらないように、ノーカウント事故があります。
ただしファミリーバイク特約などは、自分に過失があった場合でもノーカウント事故として扱われます。
ノーカウント事故の事例紹介
無保険車傷害保険の場合
例えば、友達と一緒にドライブしている時に、突然無保険の車に追突されてしまったとしましょう。その相手が保険に入っていない場合、修理費用や医療費の請求が難しくなりますね。そんな時に役立つのが無保険車傷害保険です。
この保険に加入していると、相手が保険に入っていなくても、あなたの車の修理費用や怪我の治療費をカバーしてくれます。例えば、修理に50万円、治療に20万円かかったとしたら、その費用を無保険車傷害保険が負担してくれるのです。相手の保険に頼ることなく、自分の保険でしっかり補償されるので安心ですね。
事故に遭遇しても冷静に対処できるように、無保険車傷害保険に加入しておくことはとても重要です。
ファミリーバイク特約の場合
例えば、家族の誰かの原付バイクを借りて買い物に行っている途中で、事故に遭ったとしましょう。通常なら、バイクの保険に入っていないと修理費用や相手の治療費を自分で負担しなければなりません。でも、そのような時に頼りになるのがファミリーバイク特約です。
この特約に加入していると、乗っているバイクが家族のものであっても、保険が適用されます。例えば、修理費が20万円、相手の治療費が30万円かかった場合、ファミリーバイク特約がその費用をカバーしてくれます。普段自分が乗っていないバイクでも安心して使えるので、とても便利ですね。
家族でバイクを共有することが多いなら、ファミリーバイク特約に加入しておくと安心です。
保険を使うとどのくらい保険料が上がる?
20等級だった場合の保険料の概算は以下の通りです。20等級、保険料は5万円の場合で計算しています。
3等級ダウンの場合
年 | 等級 | 保険料 |
次年度 | 事故あり17等級 | 76,000円 |
2年後 | 事故あり18等級 | 73,000円 |
3年後 | 事故あり19等級 | 68,000円 |
4年後 | 無事故20等級 | 50,000円 |
無事故の場合
等級 | 保険料 |
無事故20等級 | 50,000円 |
無事故20等級 | 50,000円 |
無事故20等級 | 50,000円 |
無事故20等級 | 50,000円 |
無事故だった場合と比較すると、元の状態になるまで4年かかります。しかしこれは、20等級だった場合を仮定としているので、他の等級の場合にはさらに年数が必要なケースもあります。
保険を使う3等級ダウン事故なら、元の割引率になるには年数が必要です。そのため、保険を使うべきなのか確認しておくべきなのです。
ノーカウントの事故の誤解や注意点
すべての事故がノーカウント事故になるわけではない
ノーカウント事故でも、すべての事故がノーカウント事故になるわけではありません。たとえば、単独事故や自損事故、あるいは相手の過失がない事故の場合は、ノーカウント事故に該当しないことが多いです。
また、保険会社ごとにノーカウント事故の条件が異なることもあるため、注意が必要です。事故が発生した際には、まず保険会社に連絡して、どのように扱われるかを確認することが重要です。これらのポイントを理解しておくと、いざという時に安心ですね。
ノーカウント事故は免責金額が適用されない
ノーカウント事故なら、このタイプの事故には免責金額が適用されません。免責金額とは、事故が起こった際に自分で支払う必要がある金額のことを指します。通常の事故では、例えば免責金額が5万円の場合、その5万円は自分で負担しなければなりません。
しかし、ノーカウント事故の場合、自己負担額はゼロになります。つまり、ノーカウント事故だと判断されると、修理費用は全額保険会社が負担してくれるのです。ただし、どの事故がノーカウント事故に該当するかは保険会社によって異なるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
ノーカウント事故なら警察に報告しなくてもよい?
ノーカウント事故というのは、保険会社が事故として扱わない事故のことです。だからといって警察に事故報告しなくていいわけではありません。たとえ小さな事故でも、警察に報告しないと後で問題が起こることがあります。
例えば、相手がいる場合、後で相手が怪我をしたと主張することもありますし、警察に報告していないと保険の請求がスムーズに進まないこともあります。警察に報告すると「事故証明書」がもらえるのですが、これは保険請求の際に必要な書類です。
ノーカウント事故でも、必ず警察に連絡して事故を報告することが重要です。そうすれば、後で何か問題が起きても対応が楽になりますし、何より安心ですね。
ノーカウント事故の今後の展望と課題
事故が発生した場合、保険料が上がるのを避けるために保険会社に連絡しない人もいます。しかし、次年度の等級や保険料がどうなるかは、事故の有無ではなく、その内容によって決まるのです。
例えば、事故があったとしても保険を使わなければ等級は下がりませんし、保険金を受け取った場合でも、特定の条件下では等級に影響しないことがあります。それでも、事故後一定期間内に報告をしないと、後で「保険を使いたい」と思った時に使えない可能性があるのです。
事故が発生した際には、保険会社に適切な報告を行うことが重要ですね。これによって、将来的なトラブルを避けることができます。
まとめ
事故を起こしてしまった場合でも、ノーカウント事故となることがあります。もちろん保険を請求する必要があるケースもあるでしょう。しかし等級ダウンしてしまうと、元の割引率に戻るまでに年数がかかります。
特約によっては保険金を請求しても保険料にも影響しないことがあります。またノーカウント事故の条件も保険会社によって異なることがあるのです。そのため、加入している保険にどのような特約があるのか、条件を確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
- ノーカウント事故とは?
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ノーカウント事故とは、保険金を請求しても翌年の保険料に影響しないことです。通常の事故であれば3等級ダウンしますが、ノーカウント事故なら影響がありません。
- ノーカウント事故の注意点は?
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ノーカウント事故とされる条件は保険会社によって異なります。保険会社が変わったならノーカウント事故の条件が変わっている可能性があるので、約款をよく確認しておきましょう。
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