スタッドレスタイヤの交換時期|夏タイヤに戻すのはいつがよい?

スタッドレスタイヤ

降雪地帯で車を使っているなら冬の時期の前にスタッドレスタイヤに交換します。雪が降る可能性が低くても、凍結した道を走る可能性があるなら、スタッドレスタイヤに交換する方も多いでしょう。

しかし気になるのは、「どのタイミングで夏タイヤに戻すのか?」という点。早すぎても凍結した道が気になりますし、遅すぎるとスタッドレスタイヤを傷めそうだと感じます。

この記事では、スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換時期について、タイヤの正しい保管方法とともに解説していきます。ぜひ、タイヤ交換をするときの参考にしてください。

目次

冬タイヤから夏タイヤに戻す時期

スタッドレスタイヤから夏タイヤへ交換する時期は、一般的には3月中旬頃からゴールデンウィークぐらいまでの時期といわれています。雪が少ない地域であっても、3月中旬ごろまでは、急に雪が降ったり気温が急激に下がったりすることもあるでしょう。

夏タイヤに戻す前に考慮できるポイントは以下の通りです。

夏タイヤに戻す目安

  • 気温7℃になるか
  • 凍結する道路はあるか

積雪や凍結の時期が過ぎてから夏タイヤに交換することで、突然の雪に困ってしまうという事態を防ぐことができるのです。

気温7度を目安にする

スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換する時期の目安の一つは、最低気温が7℃以上になった頃です。降雪があるかどうかにかかわらず、外気温が7℃でスタッドレスタイヤと夏タイヤの性能のレベルが逆転するということが理由になります。

スタッドレスタイヤは、夏タイヤよりもゴムが柔らかいので、気温が7℃以下の低温時には高いグリップ力を発揮することができます。それで、雪が降っていなくてもアイスバーンや気温が低くなっている時には、スタッドレスタイヤが最適だといえるでしょう。

一方、夏タイヤは気温が7℃以下の環境になるとゴムが硬くなってしまうので、グリップ力が低下します。その結果として、制動距離が長くなり、事故などにつながる恐れがあります。それで、スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換の時期として、最低気温が7℃以上というのが目安の1つです。

夏タイヤに戻す時期を見極める方法

整備工場

スタッドレスタイヤから夏タイヤに戻す時期を見極める方法には、降雪の最終日を目安にすること、さらには、予想気温を見て参考にすることもあげることができます。

交換時期を検討する際に参考にすることができる点をみていきましょう。

雪の最終日

夏タイヤに戻すタイミングを、雪の最終日を調べて考慮するのはおすすめです。

気象庁は、地域ごとに最終降雪日や、凍結した日などを毎年記録し統計としてまとめています。気象庁のホームページで、「過去の気象データ検索」のページにアクセスして、調べたい地域の「霜・雪・結氷の初終日」を検索できます。

雪や霜、結氷した最終日の目安から、タイヤ交換のタイミングを考慮可能です。

例えば、東京の統計は以下の通りです。

東京 平年値(霜・雪・結氷)

要素結氷結氷
初日終日初日終日初日終日
統計期間1991~
2020
1991~
2020
1991~
2020
1991~
2020
1991~
2020
1991~
2020
資料年数303030303030
月日1月3日3月9日12月23日2月14日12月24日3月5日

※参照:国土交通省 気象庁

住んでいる地域でいつまで雪が降るのか、またいつまで道路が凍結するのかを判断しにくいというときには、過去のデータを確認して参考にすることもできるでしょう。

気温の予想を見る

スタッドレスタイヤから夏タイヤに戻す時期を見極めるためのもう1つの方法は、予想気温を見ることです。

気温が3℃を下回ると路面の凍結が起きるといわれています。通常の道であれば問題ないものの、橋や日陰では気温が0℃でも、路面は凍結する可能性があるからです。

しかし最低気温の平均が5℃~7℃以上が続くようであれば、夏タイヤに交換する時期であるといえるでしょう。

スタッドレスタイヤから夏タイヤに戻すべき理由

タイヤ パンク

気温が上がってきたら、快適で安全な走行をするためにも、夏タイヤに交換することが必要になります。

  • スタッドレスタイヤの劣化
  • 雨の日のグリップ性能

上記の理由から、夏にスタッドレスタイヤで走行しないほうがよいといえます。その理由を見ていきましょう。

スタッドレスタイヤの劣化

夏タイヤよりもゴムが柔らかいスタッドレスタイヤは、夏タイヤよりも摩耗が早くなります。路面の温度が高い環境での使用により柔らかくなったゴムは、路面と密着する面積が広くなってしまうので、大きな摩擦抵抗が起こり、それにより路面との接地面が削られやすくなるので、その結果としてタイヤの劣化が早くなります。

また、水気や紫外線もタイヤの劣化を早める要因となるので、夏場の屋外駐車場などで外気にさらされていることもタイヤの劣化の要因となるでしょう。

ゴムが柔らかく、熱による劣化がしやすいスタッドレスタイヤは、夏場の走行に向いていないといえるのです。

濡れた路面が苦手

スタッドレスタイヤは雪上や凍結している路面での走行に特化しているので、夏タイヤよりも排水性能が劣っています。それで、雨で濡れている路面では「ハイドロプレーニング現象」を起こしやすくなります。

「ハイドロプレーニング現象」とは、路面の水たまりにタイヤが浮いてしまうことです。路面とタイヤの間に水の膜ができて微妙に浮いてしまう状態です。浮いたタイヤは、グリップ力を発揮することができず、スリップしてしまうことになるでしょう。

凹凸の大きな雪道や凍結している道路でのグリップ力を高めるために、スタッドレスタイヤは夏タイヤと比べて柔らかいゴムで作られています。

さらに、スタッドレスタイヤの表面には無数の小さな穴が作られていて、その穴にタイヤと氷の間にある水分を吸い込ませることで、タイヤと氷がグリップ(密着)する仕組みとなっているのです。

夏場の雨天の時には、スタッドレスタイヤの特徴であるゴムの柔らかさと吸水性の高さがデメリットとなり、「ハイドロプレーニング現象」を起こしスリップしてしまう可能性が大きくなるといえるでしょう。

タイヤの寿命を判断する方法

プラド スタッドレスタイヤ

タイヤの寿命は、残り溝の深さやゴムの劣化などによって判断することができます。一般的にスタッドレスタイヤは、新品から使用して3〜4シーズンで寿命が来るといわれています。ゴムの柔軟性が奪われると雪上や氷上での性能が低下するからです。

スタッドレスタイヤの寿命

  • プラットフォームが出ると冬タイヤとして使用不可
  • 製造年月日を確認する

タイヤへの交換時にまだ使用できるかどうかをしっかり確認するようにしましょう。タイヤの寿命を判断する際に確認できる点を確認していきます。

スリップサインを見る

スタッドレスタイヤの寿命が近いかどうかのサインは、タイヤの溝の劣化の具合によっても判断をすることができるでしょう。長く走っているとタイヤは、溝が減っていき凹凸が浅くなっていきます。

タイヤの溝が1.6㎜を下回ると目印である「スリップサイン」が現れます。タイヤの溝をよく見ると少し盛り上がっている部分がありますが、これがタイヤの寿命が来ていることを警告する「スリップサイン」です。

「スリップサイン」のある溝の位置は、通常タイヤに4~9箇所つけられていますが、タイヤの側面にある三角形のマークで見つけることができます。「スリップサイン」が、1か所でも出ているタイヤでの走行は、法定によって認められていません。それで、「スリップサイン」がでたら、すぐにタイヤ交換をする必要があります。

スタッドレスタイヤには「スリップサイン」に加えて「プラットホーム」という溝の深さが半分の地点であることを知らせるサインがあり、「プラットホーム」の位置を示す矢印のマークも、スタッドレスタイヤの側面に描かれています。

「プラットホーム」が露出してきていたら、新品の溝の状態から溝の深さが50%以下まで減ってきているということになりますので、スタッドレスタイヤの寿命を判断する上での目安とすることができるでしょう。

一般的なスタッドレスタイヤの新品の状態での溝の深さは、約10㎜なので「プラットホーム」が露出した段階では、「スリップサイン」はまだ出てきていません。それでも「プラットホーム」が露出している段階で、スタッドレスタイヤの交換時期と判断されるので注意が必要です。

製造年月日を確認する

スタッドレスタイヤの交換時期を知るための方法には、製造年月日を確認するのもおすすめです。スタッドレスタイヤの製造年月日は、タイヤ側面に数字4桁で記載がされていますが、最初の2桁の数字は週数となり、後ろの2桁が西暦年の下2桁を表しています。

たとえばタイヤ側面に「1223」という記載があるときは、2023年の12週目に製造をされたタイヤであるということになります。1ヶ月が4週間として計算をすると、12週は2023年3月の4週目前後に製造されたということです。

一般的にスタッドレスタイヤは、新品から使用して約3年が使用期限といわれています。国内メーカーの場合であっても使用期限の最長は5年と言われていて、5年目以降の使用は推奨されていません。それで製造年月日を確認することによって、安全な走行をするようにしましょう。

タイヤのひび割れの有無を確認する

タイヤに亀裂やひび割れがある場合も、タイヤの交換時期の目安となります。タイヤにひび割れなどがないかについても、しっかり確認するようにしましょう。タイヤの傷やひび割れの原因としては、ゴムが経年劣化をしてしまうことがあげられますし、タイヤの空気圧が低すぎることも亀裂やひび割れの原因となります。

また、走行中に道路上で異物を踏んでしまったりすることや、縁石などにタイヤをこすってしまうことによってタイヤが衝撃を受けることなども、タイヤのゴムの劣化が進み、亀裂やひび割れにつながる原因となるでしょう。

タイヤに大きな傷やひび割れがあると、タイヤがバーストしてしまう恐れがあるので、早めの交換がおすすめです。たとえ小さな傷であったとしてもダメージが広がっていく可能性があるので、早めにタイヤの交換を検討しましょう。

タイヤを正しく保管しよう

タイヤ交換

タイヤの寿命は、保管の方法によって大きく変わります。保管場所としては、タイヤのゴムが劣化しにくいように、直射日光が当たらなくて、風通しがよく涼しい場所に保管できるでしょう。

  • タイヤラックで保管する
  • 横向きで保管する

長期保管の前にはタイヤの汚れを取っておくこと、また定期的に位置を変えるなら、ゴムの変質を防げます。

タイヤラックで保管する

タイヤラックで保管をすることや防水性や遮光性のあるタイヤカバーを使用しての保管はおすすめです。

さらに、スタッドレスタイヤの保管前には、空気圧を下げておきましょう。経年劣化とひび割れが進行することを防ぐために、タイヤの空気を半分くらい抜いて保管できるでしょう。

ホイールがついていない状態でスタッドレスタイヤを保管するときには、スタッドレスタイヤを立てて保管しましょう。

横向きで積み重ねて保管すると、下の方にあるタイヤに重みがかかってしまい、タイヤがつぶれて変形してしまう恐れがあるからです。タイヤの変形を防ぐために、立てて保管するかタイヤラックを使うことがおすすめだといえるでしょう。

横に寝かせるならタイヤの変形に注意

ホイールがついている状態でのスタッドレスタイヤを保管する方法は、横に寝かせるというものです。横向きに寝かせる方法であれば、タイヤの接地面を広く取れるので、重量が分散されるというメリットがあります。

横向きでタイヤを重ねるとサイドウォールに負担をかけてしまいタイヤが傷んでしまう恐れも出てきます。いずれの方法であっても、定期的にタイヤの位置を変えるなどして、ゴムの変質を防ぎましょう。

タイヤに付着している水分などに注意

タイヤに付着している水分や油分、融雪剤などは、タイヤの劣化を早める原因となりますので、保管をする前にしっかりと洗って汚れを洗い流しましょう。その際には、濡れ雑巾などを使ってタイヤの溝の中の汚れまでしっかりとふき取ることが効果的です。

その後、タイヤをよく乾燥させてから保管をするようにしましょう。

タイヤの保管サービスの利用

タイヤを保管するスペースが自宅にないなら、タイヤの保管サービスの利用を検討しましょう。毎月のレンタル費用などが必要ですが、タイヤに詳しいスタッフが管理してくれたり、タイヤ交換も対応してくれるなど、安心してタイヤの履き替えができます。

タイヤの履き替えの際にも、車への積載が不要になるため、気軽に訪問してタイヤの交換ができます。利便性が高いサービスなので、検討してみるのもよいでしょう。

タイヤの相談ならカミタケモータース

弊社カミタケモータースでは、新車や中古車の販売に加えて、車の整備や点検も行っています。

タイヤの購入やタイヤ交換をご検討の方はもちろんですが、タイヤ交換のタイミングや保管方法などタイヤに関する質問や不安をお持ちの方、タイヤについてご相談したいという方も、ぜひカミタケモータースにお問い合わせください。

経験豊富な整備士が在籍していますので、タイヤについてもアドバイスが可能です。ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。

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