中古車の購入を検討しているなら、予算とのバランスからお得な車を購入したいと思うものです。
しかし車両の条件がよいと感じる場合には、水没車かもしれないというリスクがあります。条件がよいように見えたとしても、水没車はリスクがあるため避ける方が無難です。
この記事では水没車とはどのような車のことか、見分けるためのポイントをご紹介します。
この記事のポイント
- 水没車の見分け方
- 水没車を避けるべき理由
- 信頼できる車の買い方
水没車とは?
水没車とは、水害などで浸水してしまった車のことです。しかし浸水したといっても、どれほど水に浸かったかは車両によって異なるものです。
タイヤまでであれば問題ないですが、フロアまで浸水していると冠水車として扱われます。一般社団法人日本自動車査定協会は、中古車査定基準の加減点基準を定めていますが、冠水車の減点率は以下の通りです。
冠水車の減点率
冠水度合い | 減点率 |
フロアまで | 50% |
クッション上部以上 | 70% |
上記のように、フロアまで、もしくはクッション上部以上まで浸水していると、商品価値の下落が見込まれるので減点されます。
水没車は通常であればサビが発生しないところに、腐食の痕が残ることもあります。たとえば、シートレールやペダルのブラケット、シートベルト取り付けボルトやハーネスのコネクタなどです。
洪水などでタイヤまで水に浸かってしまった場合には、通常では汚れない部分まで泥汚れが付着することもあるでしょう。エアコン作動時に臭いが発生してしまう場合でも、冠水車として扱われる可能性もあります。
浸水の程度によっては修理して中古車市場に流通することもあるため、中古車選びの際には気をつける必要があります。
水没車のデメリット
水没車は、もしかすると程度がよいように思え、コスパが高い中古車と感じるかもしれません。しかし検討から購入段階で問題なくエンジンがかかったとしても、購入後に不具合が発生する可能性があります。
電装系に影響が出る可能性がある
電気制御が多数ある車になればなるほど、浸水した影響が出る可能性は高くなるでしょう。
エンジンがかかったとしても、電装系のハーネスやケーブルに影響が出ることもありますし、乗っているうちに故障するリスクもあります。
エンジン故障のリスクがある
エンジンが故障してしまうと、数十万円の費用が必要になるため、車両価格が安くても修理にお金がかかるかもしれません。特にマフラー部分が水に浸かっているなら、エンジンまで影響が出る可能性もあります。
車内に臭いが残る
故障だけでなく、クッション上部以上まで浸水しているなら、車内に臭いが残ってしまったり、カビや細菌が発生してしまったりするケースもあります。
車を検討している状態で見る数分では分からなくても、何時間も乗車しているときに臭いに気がつくこともあるでしょう。いずれにしても、故障や衛生上のリスクから水没車のデメリットは大きいのです。
水没車の見分け方
中古車を選ぶときに、水没車を見分けられるなら、気づかずに購入することを避けられます。全ての特徴に当てはまっていない可能性もありますが、これらの点を見ておくなら水没車を見分けられます。
異臭がする車
水没している車は、クリーニングを行っていたとしても、微妙な臭いが残ってしまうことが多くあります。浸かってしまった水が汚水なことが多いからです。
シミついてしまった臭いは、車内クリーニングをしても残ってしまいます。そのため、ドアを閉めたときでも臭いがないかチェックしておくとよいでしょう。
通常では水がかからないところにサビがある
車を走行させていて、水がかからないところにサビがあるなら、水没車の可能性があります。たとえば、エンジンルームであればシリンダブロックやアルミ製部品にサビや変色があるかもしれません。
さらに、トランクルームやシートレールなどを見ておくと、サビがないかチェックできます。車内空間はクリーニングや塗装の補修をしていても、工具入れの部分を開けてみると、サビが見つかることもあります。
シミや汚れがある
水没していると、車内の随所にシミや汚れが見つかります。中古車であれば、年数相応の汚れがあるのは仕方ありませんが、水没車の場合には泥汚れが残っている可能性があります。
ドアの内張りに剥がした痕があったり、接着剤の汚れが残っていたりするからです。またシートベルトを引き伸ばしてみるのもおすすめです。ベルトの奥の部分に汚れが残っていることがあります。
エアコンをつけたときに臭い
エンジンを試運転させることができるなら、エアコンを作動させてみましょう。水没している車は、清掃してたとしてもエアコンに臭いが残っている場合があるからです。
ドアを閉め切った状態でエアコンを作動させてみると、どうしても臭いが残っているケースがあるため水没車を見分ける要素となります。フィルターなどを交換していてもエアコンを作動させればカビ臭くないかチェックできるでしょう。
水没車を買ってしまったら?
中古車を販売する際に、水没車を表示する義務は販売店にありません。しかし告知せずに水没車を販売してトラブルになったケースがあるため、冠水車を販売前に告知するように勧められています。
自動車公正取引協議会も、中古車販売における冠水車の取り扱いに関して、告知徹底を呼びかけています。該当する法律は、表示・説明しなかった場合において、公正競争規約と景品表示法の違反です。
車の骨格部分を修復や交換した場合には修復歴車として表示する必要があります。一方で、冠水車であることは伝えずに販売しているケースもあるようです。
冠水車であることを知らずに契約してしまった場合には、民法に基づいて契約の取り消しを求めることができます。(民法95条)
また、冠水車であることを隠しながら販売していた場合には、詐欺による契約とみなして取り消しを求めることもできます。(民法96条)
しかし、販売した中古車販売店が冠水車であったことに気づいていない場合も考えられるでしょう。いずれにしても冠水車と気づかずに販売した場合でも、契約取消を求めることはできます。
水没車は修理できる?
水没車を修理できるかは、結論からすると可能ですが、費用がかかる場合が多いです。そもそも水没車はどれほどのレベルで浸水しているのか車両によって異なります。
タイヤであれば修理可能な場合もある
水没車と表記されている車両でも、タイヤの部分だけ水に浸かった車両もあるかもしれません。このような車両ではタイヤやブレーキローターを交換するだけで、他の部分には影響が少ない場合もあります。
タイヤの上部まで水に浸かった車でも、ドライブシャフトなど錆びによる影響が懸念される部品を交換するだけで、問題なく走行できる場合もあるでしょう。
電装部品やエンジンは要注意
一方で気をつけておきたいのは電装系が水に浸かった車両です。一見すると見た目が綺麗でも電装部品に影響が出ている可能性もあるため、修理したとしても費用が高額になりがちです。
さらにエンジンが水没した場合には交換しなければいけません。万が一購入した車がエンジンまで水没していたなら、調子が悪いとエンジンの交換が必要です。
エンジンの交換は、安くても10万円から高額になると何十万円も必要となります。そのため、水没車は修理よりも乗り換えを検討した方が賢いといえるでしょう。
水没車の中古ならお得?
水没車は中古車として購入を避ける人が多いため、車両価格が安く設定されている場合があります。中古車の査定基準として、水没車もしくは冠水車と認定されるには、フロア以上の浸水が認められる場合です。
水没車の見た目の状態がよかったとしても、フロアよりも上まで浸水しているならハーネスなどの電装系に影響が出る可能性があります。
中古車を購入して短期間で乗り潰すなどの目的があるなら、安く購入できる水没車を選択肢に含めてもよいかもしれません。しかし長く乗り続けたいと思っているなら、コンディションに心配が残る水没車がおすすめしません。
オークションで水没車は出回っている?
中古車市場では水没車が出回っているため、中古車として販売されている車の中には冠水車もあります。しかし、オークションや中古車市場で冠水車であることを告知せずに販売した結果、トラブルになったケースが観察されたため、先述のように現在では冠水車であることを告知するように勧められています。
一般社団法人「自動車公正取引協議会」が発行したお知らせの中には、冠水車ではないと虚偽の表示や説明をした場合には不当表示に該当するため、公正競争規約の違反や景品表示法上の問題になるとされました。
冠水車であるなら販売する前に消費者に説明するようになっているため、購入前には冠水車であることを知れるでしょう。「公取協会員販売店」であれば、車両の状態を正しく表示しているので、安心して購入できます。
愛車が水没したら売れる?
愛車が水没してしまった場合には、中古車として査定に出せるでしょうか?ひどくない浸水の場合には中古車としての価値もありますが、水没の場合には部品としての価値があります。
軽微な場合は中古車として価値がある
フロアまでの浸水のように比較的軽微な水没であれば、国内での中古車としてのニーズはあるでしょう。徹底的に修理や交換をすることで比較的安心して乗れる場合もあります。
もちろん、エンジンの位置によってはフロアまで浸水しても、重要な部品が水没している可能性もあります。浸水の度合いによって中古車の価値が変わるのは、車の形状によっても異なります。
重度の場合はパーツとしての価値がある
一般的な中古車買取業者では水没車は価格が下がってしまうため、査定をしたとしても買取価格に期待できません。
そこでおすすめしたいのは、水没車や事故車を専門的に取り扱っている業者です。水没車は国内では価格が落ちてしまうため流通が難しいものの、海外でリユースや解体のニーズがあるため、通常では価格がつきにくい水没車でも買取が可能です。
エンジンやフレームなど鉄の部品は水没することで、錆が発生するリスクがあります。しかし、水没しても問題なく使えるパーツもあるため、リサイクルパーツとして海外で販売されるのです。部品単体での価値がある車も多いので、水没車でも買取してもらえます。
自分では買取してもらえないと思っている車でも、専門業者では比較的高値で買取してもらえる可能性もあるため検討してみるとよいでしょう。
水没車のリスクが心配なら新車
このように水没車は綺麗に見えたとしても、購入してから問題が発生する可能性は十分にあります。高額な費用を出して購入してから、さらに修理費用がかさむとトータルコストが高くなるでしょう。
水没車をしっかりと見極めて、可能な限り避けておくのは、安心したカーライフを送るのに不可欠です。この記事で紹介したポイントを実車確認の際に見ておくなら、水没車を避けることができます。
今では冠水車の告知が求められているとはいえ、知らずに中古の水没車を購入していることもありえるものです。中古車の購入では、どうしてもコンディションのリスクは避けられないでしょう。
もし中古車のコンディションが気になるのであれば、誰も乗っていない新車を購入するのがおすすめです!新車であれば誰も乗っていないのでコンディションの心配なくカーライフを送れます。
弊社カミタケモータースでは新車1.99%の超低金利プランを取り扱っており、大変お得に新車を購入していただけます。支払額を抑えながら希望するグレードに乗っていただけますし、乗り出しに便利なオプションもセットになっています!
よくある質問
水没車とは?
水没車とはフロア上まで浸水してしまった車のことです。商品価値の下落が見込まれるので中古車査定で減点されます。中古車購入する際には、故障のリスクがあるため避けることをおすすめします。
水没車はどのように見分ける?
水没車はエアコンを作動させてみたり、ボディの随所に水没した痕やサビがないかを確認すると見分けられます。中古車販売の際には水没車であることを隠さないようにとされているので、気になるのであれば購入前に販売店によく確認しておくとよいでしょう。
水没車を購入してしまったら?
水没車を購入してしまったなら、水没の度合いによっては不具合が生じた際の修理でよいでしょう。エンジンの不調だったり電装系のトラブルだったりすると、修理費用が高額になってしまう可能性もあります。修理をしても、他の部品のトラブルが起きる可能性もあるため、乗り換えを検討してもよいケースがあります。