冬の朝、出かけようとしたらエンジンがかからない。そのような、バッテリー上がりのトラブルを経験したことがある人は多いと思います。
とくに気温が下がる冬は、バッテリー上がりが起こりやすい季節です。そこで今回は、冬にバッテリー上がりが起こる原因や発生した時の対処法などを徹底解説します。この記事を読んで、冬のバッテリー上がり対策を万全にしましょう。
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冬にバッテリーが上がりやすい理由とは?

冬はバッテリー上がりのトラブルが最も多い季節です。
理由は複数ありますが、以下が考えられます。
- 寒さによるバッテリー機能の低下
- エンジン始動時の電力消費の増加
- 電装品の利用機会の増加
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
寒さがバッテリーに与える影響
バッテリーの内部では、電解液と呼ばれる液体の中で化学反応が起こり、それによって電気が発生します。しかし、気温が低下すると、この化学反応が鈍くなり、バッテリーの性能が低下してしまうのです。
具体的には、バッテリーの電圧が低下し、蓄えられる電気の量も減少します。
一般的に、バッテリーの性能は気温25℃を基準として設計されており、気温が10℃下がると性能は約20%低下すると言われています。そのため、外気温が氷点下になるような真冬の環境では、バッテリーは本来の性能を半分程度しか発揮できないことも。
このように、寒さはバッテリーにとって大敵であり、性能低下の大きな原因になります。
エンジン始動時の電力消費の増加
冬は、エンジン始動時に多くの電力が必要になります。エンジンを始動させるためには、セルモーターと呼ばれるモーターを回転させなければなりません。
とくに冬場は、エンジンオイルが低温で固くなり粘度が高くなることで、エンジン内部の抵抗が大きくなります。
この抵抗に打ち勝ってエンジンを始動させるためには、セルモーターにより多くの電力が必要となり、バッテリーに大きな負荷がかかります。
夏場は一発で始動できていたエンジンも、冬場は始動に時間がかかったり、何度もセルモーターを回したりすることになりがちです。結果として、バッテリー上がりを引き起こしやすくなるのです。
電装品の利用機会の増加
冬は、夏に比べて日照時間が短く、気温も低いため、さまざまな電装品の使用頻度が増えます。
具体的には、以下のとおりです。
- ヘッドライト
- フォグランプ
- エアコン(デフロスター)
- シートヒーター
これらは全てバッテリーから電力を供給されるため、使用するほどバッテリーへの負荷は大きくなります。とくに、デフロスターはフロントガラスの曇りを取り除くために頻繁に使用され、消費電力も大きいです。
また、シートヒーターは快適なドライブには欠かせない装備ですが、これもバッテリーにとっては大きな負担となります。
これらの電装品を多用することで、バッテリーの電力消費が増加し、バッテリー上がりのリスクが高まります。
冬のバッテリー上がりを防ぐ基本対策

冬のバッテリー上がりを防ぐ際、対策をしておくことが重要です。どれも簡単に実践できることばかりなので、事前に把握しておきましょう。
定期的なバッテリーチェック
バッテリー上がりを防ぐためには、定期的な点検が重要です。とくに冬を迎える前には、バッテリーの状態をしっかりと確認しておきましょう。
具体的には、以下の点検を自動車整備工場などのプロに依頼することをおすすめします。
- バッテリーの電圧をテスターで測定してもらう
→12.5Vを下回る場合は要注意 - バッテリー液の量と比重を確認してもらう
→バッテリー液が不足しているとバッテリーの性能が低下するだけでなく、バッテリー自体の寿命を縮める原因にもなる
これらの点検を定期的に行い、必要に応じてバッテリーの交換や充電を行うことで、冬のバッテリー上がりを効果的に予防できます。
通常、バッテリーの寿命は2年から3年です。購入から3年以上経過している場合は、早めの交換を検討しましょう。
アイドリングストップ車における注意点
近年、燃費性能を高めるためにアイドリングストップ機能を搭載した車が増えています。
しかし、アイドリングストップ車は、通常の車に比べてバッテリーへの負荷が大きいため、注意が必要です。
アイドリングストップ中はエンジンが停止し、発電機も停止するため、エアコンやオーディオなどの電装品はバッテリーの電力で賄われます。その結果、バッテリーの電力消費が早まってしまいます。
さらに、エンジン再始動時にはセルモーターを回す必要があり、大きな電力を消費します。
そのため、渋滞などで頻繁にアイドリングストップが繰り返されると、バッテリーが十分に充電されず、上がりやすくなるのです。
アイドリングストップ車は、専用のバッテリーを搭載していますが、通常よりもバッテリーの消耗が早いため、早めの点検や交換が重要です。また、可能であれば、冬期はアイドリングストップ機能をオフにするのも一つの対策です。
車の使用頻度を上げる工夫
車の使用頻度が低いと、バッテリーは自然放電によって徐々に電力を失っていきます。
とくに冬場は、気温の低さから、バッテリー上がりのリスクが高まります。そのため、長期間車を使用しない場合は、バッテリー上がりを防ぐための対策が必要です。
理想は、週に1回30分程度は車を走らせることです。エンジンを始動し、一定時間走行することで、バッテリーを充電できます。
また、走行することでエンジンオイルが循環し、エンジン内部のコンディション維持にもつながります。もし、長期間車を使用しない場合は、バッテリーのマイナス端子を外しておくという方法も。
しかし、最近の車は電子制御が多いです。長期間バッテリーを外すとさまざまな設定がリセットされる可能性があるため、自動車ディーラーや整備工場に相談することをおすすめします。
バッテリー上がりの前兆

画像引用元:photo AC
バッテリー上がりは突然起こるように思えますが、実は前兆がある場合も多いです。
それぞれまとめると、以下のとおりです。
- エンジンのかかりが悪くなる:セルモーターの回りが遅くエンジンがかかりにくくなる
- ヘッドライトが暗い:エンジン始動前やアイドリング時にヘッドライトがいつもより暗く感じる
- パワーウィンドウの動きが遅い:窓の開閉速度が遅くなる
- クラクションの音が小さい:クラクションの音量が小さくなったり音色が変わったりする
- アイドリングストップが作動しなくなる:アイドリングストップが効かなくなることがある
これらの症状は、バッテリーの電圧が低下していることを示しています。
バッテリーが上がってしまった時の対処法

バッテリーが上がってしまった場合、事前に対処法を知っておくと、停止した時に対応できます。
それぞれ対応策をまとめたので、参考にしてください。
ジャンプスタートの手順と注意点
ジャンピングスタートは、他の車から電気を分けてもらいエンジンを始動させる方法です。
正しい手順で行わないと、車両の電子機器を損傷したり、感電や爆発などの危険性があります。
以下の手順と注意点をよく確認して作業してください。
- 救援車と故障車を近づけエンジンを停止させる
- ブースターケーブルを正しい順序で接続する
- 救援車のエンジンを始動しエンジン回転数を少し高めに保つ
- 5分ほどたってから故障車のエンジンを始動する
- エンジンが始動したらケーブルを接続した時と逆の手順で外す
また、以下の注意点もあります。
- ブースターケーブルの接続順序を間違えない
→プラスとマイナスを逆に接続しないように注意する - ブースターケーブルはバッテリーの容量に合ったものを使用する
→細いケーブルを使用すると発熱や発火の危険性がある - 救援車と故障車の電圧が同じであることを確認する
→ 通常のガソリン車であれば12V
不安な場合は、整備工場でしてもらうことをおすすめします。
ロードサービスを利用する際のポイント
ジャンプスタートでエンジンが始動しない場合や、自分で作業するのが不安な場合は、ロードサービスを利用しましょう。
JAFなどのロードサービスに加入していれば、多くの場合無料で対応してもらえます。
それぞれポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 連絡先を事前に確認しておく
- 電話で状況を正確に伝える
- 到着まで安全な場所で待機する
連絡先は、車検証入れなどに連絡先を記載したカードが入っていることが多いです。
また、車の状況を伝える必要があります。車種、年式、現在の状況、いる場所などを詳しく伝えましょう。
バッテリー交換が必要かどうかの見極め方
ジャンプスタートでエンジンが始動しても、バッテリーが劣化している場合は、再びバッテリー上がりが起こる可能性があります。
以下の点を確認し、必要に応じてバッテリー交換を行いましょう。
- バッテリーの使用年数を確認する
- ジャンプスタート後電圧を測定する
これらの点検は、カー用品店や整備工場で依頼可能です。
バッテリーの状態を正確に判断し、適切なアドバイスをもらえます。
とくに、冬場はバッテリー上がりによるトラブルが急増します。早めの点検と交換を心がけましょう。
冬のバッテリー上がりを防ぐ便利なアイテム

冬のバッテリー上がり対策には、便利なアイテムの活用が効果的です。
ここでは、とくにおすすめのアイテムを2つ紹介します。
ポータブルジャンプスターター
ポータブルジャンプスターターは、救援車がいない状況でも、自力でエンジンを始動できる便利なアイテムです。使い方は本体を充電しておき、バッテリー上がりの際に、本体とバッテリーをケーブルで繋ぐだけです。
多くの製品は、USBポートを備え、スマホなどの充電にも使えます。しかし、製品によって対応するバッテリー容量が異なるため、自分の車に適したモデルを選ぶ必要があります。
バッテリー充電器
バッテリー充電器は、家庭用コンセントからバッテリーを充電できる機器です。使い方は、バッテリー充電器とバッテリーをケーブルで繋ぎ、コンセントに差し込むだけ。
定期的にバッテリーを充電することで、バッテリーの劣化を防ぎ、寿命を延ばす効果も期待できます。ただし、過充電はバッテリーを傷めるため、注意が必要です。
バッテリー上がりを防ぐために日常で気をつけるポイント

バッテリー上がりを防ぐためには、いくつか気を付けることがあります。
それぞれまとめたので、以下を参考にしてください。
ヘッドライトやアクセサリー電源の管理する
エンジン停止後も、ヘッドライトや室内灯などが点灯したままになっていないか確認しましょう。特に、夜間やトンネル走行後は消し忘れがちです。
降車時には、これらアクセサリー電源がオフになっているか確認する習慣をつけましょう。
些細なことですが、これらの確認を怠るとバッテリー上がりの原因となります。
エンジン停止時の電装品利用を避ける
エンジン停止時に、エアコンやオーディオなどの電装品を使用するのは避けましょう。エンジン停止中は、発電機が作動しないため、バッテリーの電力のみが消費されます。
待ち時間などで車内にとどまる際は、必要な電装品だけを使用し、長時間の使用は控えましょう。無駄な電力消費を減らすことが、バッテリー上がりを防ぐための重要なポイントです。
まとめ
冬のバッテリー上がりは、事前の対策と日頃の心がけで、未然に防げます。また、今回紹介した便利アイテムの活用や、電装品の使用を控えることも効果的です。
万が一、バッテリーが上がってしまった場合は、落ち着いてジャンプスタートやロードサービスを利用しましょう。
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よくある質問
- 冬にバッテリーが上がりやすい理由は?
-
冬は電装品を使うことが多いため、バッテリーに負担がかかりやすくなります。また気温が低いとバッテリーの性能が低下してしまうためバッテリーが上がりやすくなります。
- バッテリーが上がってしまったときの対処法は?
-
バッテリーが上がってしまったならジャンプスタートを試してみます。ブースターケーブルを用意していない場合は、ロードサービスを利用してスタートしてもらいましょう。


