ヒールアンドトゥとは?スポーツ走行するMT車に必要なテクニックを解説

ヒールアンドトゥ

スポーツ走行するMT車に欠かせないテクニックがヒールアンドトゥです。速く走るためにも安全に走るためにも確実に走るために習得しなければいけないテクニックになっています。

そこで今回は、ヒールアンドトゥとはどのようなテクニックなのか、メリットや街乗りでの必要性、手順などを解説します。ぜひ参考にしていただき、ヒールアンドゥを身に付けて、颯爽とMT車を運転してください。

実際にスタッフが実践してみた様子もご紹介しています!

目次

ヒールアンドトゥとは?

ブレーキペダル

まず、ヒールアンドトゥとはどのようなテクニックなのかから解説しましょう。

ヒールとはかかと、トゥとはつま先のことですが、ヒールアンドトゥでは右足のつま先でブレーキを踏み、シフトダウンのタイミングでつま先の踏力をキープしたまま右足のかかとでアクセルをあおり、回転数を上げて下のギヤにつなげます。

もう少し簡単に説明すると、アクセルを踏みながら回転数をコントロールし、スムーズにシフトダウンするための技術がヒールアンドトゥです。

ヒールアンドトゥの表記としては、「ヒールアンドトウ」「ヒールアンドトー」などもあります。

ヒールアンドトゥするメリット

ポイント

ヒールアンドトゥをすることでどのようなメリットが得られるか考えてみましょう。

ショックのないスムーズなシフトダウンができる

ヒールアンドトゥをすることでスムーズなシフトダウンができます。その説明のために、MT車のシフトショックについて考えてみましょう。

MT車を運転しているときに起きることがあるのがシフトショックです。シフトショックとはギヤチェンジの際に起きる振動のことで、原因としてはエンジンの回転数がずれていることが挙げられます。

例を挙げてみましょう。日産の180SXという車の場合です。3速から2速へシフトダウンしたとします。

車速は100km/hで、3速の時のエンジン回転数は4,500rpmです。ここから2速にシフトダウンすると、車速は100km/hのままでエンジン回転数は変わらないのですが、実際には6,500rpm必要です。2,000rpm不足状態ですね。

この不足分をアクセルをふかすことでカバーして、スムーズにシフトチェンジするのがヒールアンドトゥです。その結果、タイヤ側とエンジン側の回転数のずれがなくなり、ショックのないスムーズなシフトダウンをもたらします。

エンジンブレーキを活用する

ヒールアンドトゥで上手くシフトダウンできると、一つ下のギヤのエンジンブレーキを活用でき、スムーズに減速できるようになります。

ギヤが低くなると、車の抵抗力も上がり、エンジンブレーキの作用も強くなるからです。

すぐに加速できる

ヒールアンドトゥをすれば、減速後すぐに加速できます。

ブレーキングをした車は車速が落ち、エンジンの回転数も少なくなります。そうなると、エンジンのパワー不足によって再加速するときに時間がかかるのです。

ヒールアンドトゥではブレーキをかけながらもシフトダウンし、アクセルをあおることで、エンジンの回転数を落としません。その結果、減速後すぐに加速することができるのです。カーブを曲がった後の再加速もスムーズにできます。

快適な乗り心地を維持できる

ヒールアンドトゥをせずに急にシフトダウンすると、タイヤの回転数とエンジンの回転数にずれ(エンジンの回転数が大きく不足した状態)が生じます。

そうなると、クラッチをつないだときに急にエンジンブレーキが掛かり、ドライバーや同乗者は前のめりになってしまいます。ヒールアンドトゥをやっていれば、このようなことは起きないので快適な乗り心地を維持できますね。

タイヤの回転数に対してエンジンの回転数が大きく不足すると、シフトロックという状態になることもあります。シフトロックとはエンジンブレーキが過剰に掛かり、タイヤがロックすることです。

シフトロックにより車の挙動がおかしくなったり、車にダメージが生じたりすることがあります。シフトロックを防ぐために必要なのがヒールアンドトゥです。シフトダウンの際に少しアクセルを入れることで回転数を合わせて、スムーズなシフトダウンをもたらすからです。

同乗者も快適

ヒールアンドトゥにより同乗者も快適に過ごせます。シフトショックもなくなり振動も減るし、加速もスムーズ。気分良く安心して同乗していられますから、不安も感じないで済みます。

街乗りでヒールアンドトゥは必要?

車 運転

ヒールアンドトゥはMT車をスポーツ走行するときに使うテクニックですが、街乗りにも応用できます。

例えば、交通量がやや多い道路でMT車を運転している場合です。減速時にブレーキングをするのですが、停車せずにもう一度加速する必要が生じることがあります。

その際に、ヒールアンドトゥをせずに加速しようとすると、スピードが乗りにくかったり、ガクンと揺れたりなど不快な思いをすることもあります。

ヒールアンドトゥのテクニックを習得したドライバーなら、そのような不快は避けられ、スムーズな走行を続けられますね。

ただ、街乗りでヒールアンドトゥが絶対に必要かというと、そうとはいえません。その理由を考えてみましょう。

エンジンブレーキが必要ない

街乗りではエンジンブレーキはあまり必要ありません。現在のブレーキは非常に進化していて、緊急時にクラッチを切ってもフットブレーキだけで対応できます。ABSの性能も上がっているので、確実な制動力も得やすくなっています。

ヒールアンドトゥをしないから減速が思うように行かず、危険に陥るということはまずありません。

街中ではそんなに早く加速する必要はないかも

減速後の加速がスムーズになるのがヒールアンドトゥのメリットですが、街乗りではそれほど素早く加速する必要がありません。

街中で加速する場合は、減速してからクラッチを切り、適切なギヤから半クラッチを使って再加速すればいいだけです。ヒールアンドトゥのようなテクニックを使わなくても、再加速に支障はありません。回転数をアイドリング状態に落として、再スタートすれば済むのです。

このようなテクニックは教習所でも教えていますね。

街乗りではシフトダウンの必要性も低い

街乗りではシフトダウンする機会も少ないです。そのため、シフトダウンによるショックも起こりにくいです。

仮にシフトダウンするとしても、最近の車は機械や電子制御が進歩し、街乗りのスピード域では回転差も小さくなりました。回転差が小さければ、ヒールアンドトゥのような操作をしなくても運転もスムーズにできます。

街乗りのスピード域は低回転域となりますが、低回転域のわずかな回転数の差を調整するのはかなり難しいです。そのため、無理にヒールアンドトゥのような操作をする必要もありません。

ヒールアンドトゥの手順

ヒールアンドトゥの操作は少し複雑です。慣れないうちは難しく感じるでしょう。操作間違いによるリスクもあります。

そこでここでは、ヒールアンドトゥの適切な手順を紹介します。この手順に沿って正しく実行してください。

1.ブレーキを踏む

ヒールアンドトゥ

ヒールアンドトゥで最初にすることは、ブレーキを踏むことです。スポーツ走行中にシフトダウンする場合は、十分に減速しなければいけないからです。減速しないでシフトダウンすると、レッドゾーンに突入することもあります。

ブレーキのかけ方ですが、親指の付け根から指の腹あたりを使って力強く踏み込みます。強く踏み込んだブレーキの力を弱めてはいけません。踏み込む力が弱くなると、制動距離が伸びるだけでなく、車の動作が乱れ、スムーズな動きにならないことがあるからです。

ヒールアンドトゥでは、一定の踏力でブレーキを踏みながら次の動作に移ります。

2.クラッチを切りシフトダウン

ヒールアンドトゥ

ブレーキを踏んである程度減速したら、思いっきりクラッチを切ります。クラッチを切るタイミングが遅ければ遅いほど、操作が楽になります。ブレーキによる減速がより進んでいるためにアクセルであおる回転数が少なくて済むからです。

ヒールアンドトゥ

次はシフトダウンです。クラッチを踏んだままシフトを落とします。

ヒールアンドトゥ

3.ブレーキを踏みながらアクセルを踏む

ヒールアンドトゥ

クラッチを切ったら、ブレーキを踏みながらすかさずアクセルを踏みます。アクセルを踏む部分は右足のかかとまたは側面です。ブレーキは右足のつま先で踏んだままです。

ここでシフトダウンしたときの回転数を目指して、アクセルをあおります。アクセルをあおる行為を「ブリッピング」と呼びます。ブリッピングでエンジンの回転数を上げるのです。

シフトダウンではエンジンの回転数が上がりますが、無理なシフトダウンをすると、タイヤの回転数に引き上げられてしまい、変速ショックが起きます。

そこで変速ショックを起こさないために、ブリッピングでエンジンの回転数を上げ、タイヤの回転数に合わせておくのです。

ブリッピングには注意点があります。ブリッピングのしすぎでは回転数が高くなりすぎ、不十分なブリッピングでは低くなります。ここでエンジンとタイヤの回転数にずれが生じ、その状態のままクラッチをつなぐと、回転差分の変速ショックが起きるのです。

また、危険なのはブリッピングが極端に不足し、エンジンの回転数が非常に少ない状態でクラッチをつなぐと、シフトロックが起き車体のバランスが急に崩れることがあることです。

4.半クラッチを活用しながらクラッチをつなぐ

ヒールアンドトゥ

アクセルをあおった後は、半クラッチを活用しながらクラッチをつなぎます。ここでクラッチをつなぐタイミングが遅れてしまうと、ブリッピングで上がったエンジンの回転数が落ちてしまい、ヒールアンドトゥを行っている意味がなくなってしまいます。

そのため、アクセルをあおるのとクラッチをつなぐタイミングは同じにしてください。

N-ONEがやっと納車されましたので早速やってみたのですが、これが頭でわかっていても慣れるまで難しいです。本当にできているのか疑心暗鬼になります。まだまだ練習が必要です・・><リズムよく、正しく減速することと、シフトショックが起きずにスムーズにクラッチをつないでいくことがいかに難しいか実感しました。

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練習できる環境

ヒールアンドトゥの練習に適した環境はかなり広い場所です。練習ではある程度速度も出しますし、ブレーキング・エンジン回転数を合わせるクラッチミートが必要だからです。

そのため、十分にテクニックを習得していない段階での公道での練習は危険でしょう。周囲の車と事故を起こす恐れもあります。

イメージトレーニングでヒールアンドトゥを練習することもできます。車の停車時に右足・左足・左手の操作を実際にヒールアンドトゥーをやっているように動かしてみるのです。感覚的に操作を学べます。

ヒールアンドトゥの注意点

電球

複雑な操作を伴うヒールアンドトゥには注意点がいくつかあります。以下にまとめてみましょう。

ブレーキを踏みすぎない

ヒールアンドトゥではブレーキを力強く踏むのですが、踏みすぎてはいけません。

アクセルをあおるときはかかとを使うので、右足全体であおりすぎると、ブレーキもあおりすぎてしまいます。そうなると、ドライバーの体が前につんのめってしまうのです。

ヒールアンドトゥではブレーキに力を入れすぎないように踏むことが大切です。

靴選びに注意

ヒールアンドトゥでは足先の細かい操作が必要になるので、適切な靴を選ぶ必要があります。かかとが高い靴・ブーツ・革靴などは適していません。一番いいのはドライビングシューズですが、なければスニーカーでも大丈夫です。

アクセルの踏み方の注意

ヒールアンドトゥではブレーキを踏みながらアクセルも踏んでエンジンの回転数を上げていくのですが、アクセルの踏み具合を適度にしないといけません。

エンジンの回転数が上がりすぎても低すぎても狙った効果が得られません。ちょうどいい踏み具合にして、ぴったりのエンジン回転数にする必要があります。

周囲に気を配る

ヒールアンドトゥでは足を使ったペダル操作をしますが、ここに気を取られすぎて、周囲への目配りがおろそかになってはいけません。周りにも十分気を使いながら、テクニックを駆使してください。

よくある質問

Q.ヒールアンドトゥをしやすくするツールはある?

ペダルカバーを使ってみるのはおすすめです。ペダルの面積が小さい場合、ヒールアンドトゥがやりにくいことがあります。そのようなときはペダルカバーを取り付ければ、面積が広くなる上に、靴が滑りにくくなり、踏み間違いなども起こりにくくなります。

注意点でも取り上げたドライビングシューズもおすすめです。ドライビングシューズは靴底が薄く、ペダルの感触をつかみやすくなっています。また、かかと部分が丸くなっていて、足の踏み替えやヒールアンドトゥをやりやすくなっています。

ヒールアンドトゥ向きの車はありますか?

ヒールアンドトゥに向いた車はアクセルペダルとブレーキペダルが近い車です。両方のペダルを操作するヒールアンドトゥでは、距離があるとやりにくくなります。そういう意味では、一般車のMT車よりもスポーツカーの方が行いやすいです。

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