エンジンを守るオイルの粘度の選び方と重要性|タイプ別の粘度の違い

オイル 粘度

エンジンオイルにはさまざまな種類があります。粘度の高いオイル、低いオイル、さらさらとしたオイルなどがあります。オイルの選び方を間違えると、車の本来の性能を十分に発揮できないこともあります。

愛車の状態を維持するために、オイルの粘度について理解しておき、適切な種類を選択する必要があるのです。この記事では、エンジンオイルの粘度の選び方について詳しく解説します。

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目次

オイル粘度とは?エンジン性能に与える影響

オイル

エンジンオイルは、エンジン内の潤滑を高めるための油のことです。粘度が表示されており、適した粘度を選択する必要があります。また、粘度は特性やパフォーマンスにも影響します。

オイル粘度の基本知識とその重要性

エンジンオイルは、エンジン内部のシャフトやピストンなどのパーツが触れ合うところをスムーズに動かすための潤滑油です。

期待される作用は以下のようなものです。

  • 防錆作用
  • 潤滑作用
  • 洗浄作用
  • 冷却作用
  • 気密作用

上記の作用のために、エンジンオイルの粘度を選択します。

オイルを交換する際にはまず、新車に充填されているエンジンオイルの粘度を確認しましょう。各自動車メーカーは、エンジンの設計や性能を考慮して、適切なエンジンオイルの粘度を選定しています。これが基本となる粘度です。この情報は自動車の取扱説明書やインターネットで確認できます。

エンジンオイルの粘度は「5W-30」のように表記され、これをSAE規格粘度と言います。SAE規格はアメリカのSAE INTERNATIONALという団体が定めたもので、世界中で広く使われています。

では、このSAE規格粘度の見方を説明します。「0W-20」の表記で、Wは「Winter Grade」を意味し、低温時(エンジンスタート時)の粘度を示しています。ここでは「0」がそれにあたります。この数値が低いほど、寒い時期のエンジン始動性が良くなります。

次に「20」は、エンジンが温まった状態での粘度を示します。数値が高いほど粘度が高く、オイルが粘り気を持つことを意味します。逆に、数値が低いほど粘度が低く、オイルがサラサラしています。

つまり、「0W-20」という表記で、オイルの冷間時と温間時の粘度がわかります。小さい数値の組み合わせは柔らかいオイルで、始動性や燃費が良くなります。逆に、大きな数値の組み合わせは硬いオイルで、熱容量の大きいエンジンや高性能エンジン、レース用に適しています。

ちなみに、「0W-20」のように、冷間時と温間時の2つの粘度を持つオイルを「マルチグレードオイル」と呼びます。一方、「20」のように1つの粘度だけを示すオイルは「シングルグレードオイル」と呼びます。現在は、マルチグレードオイルが一般的で、シングルグレードオイルはあまり使われなくなっています。

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オイル粘度がエンジンに与える効果

エンジンの状態に与える影響を考えて選択する必要があります。間違った粘度のオイルを入れてしまうと、エンジンが損傷したり、異音の原因になったりもします。

オイルの粘度が低い場合は、流動性が高い状態なので、低温時やエンジン始動時にオイルがエンジン内部に潤滑しやすい特徴があります。

回転が始まったときの摩擦が少ないので、低燃費に走行できるのが特徴です。エンジンが温まったり、高負荷になる場合は摩耗する危険性があります。

高粘度のオイルを入れたときには、高温時や高負荷時に潤滑効果を保ちやすいという特徴があります。スポーツ走行や長距離運転が多いならこのようなオイルを入れておくのがおすすめです。

粘度の高いオイルは、エンジン始動時に潤滑しにくいので、暖機運転をしてエンジン内部に潤滑させてから負荷をかけるなどの配慮が必要でしょう。

使用する走行シーンに合わせてオイルの粘度を使い分けすると、求められる性能と効果のバランスが取りやすくなります。

正しいオイル粘度の選び方

エンジンオイル

オイルの粘度選びの基準

オイルを選択する際には、基本的にメーカーが車種別に設定しているエンジンオイルの粘度を選択しましょう。取り扱い説明書に、メーカーが指定している粘度が記載されています。

推奨されているオイルの粘度は、複数の選択肢があるケースもあります。近年の車種は、低燃費性能を高めるために省燃費オイルで低粘度のオイルが指定されているケースが多いです。

エンジンの状態によっては、指定されている粘度以外のオイルを選択する可能性もありますが、車が本来持っている性能を発揮するためには、指定された粘度を選びましょう。

高粘度オイルと低粘度オイルの使い分け

高粘度と低粘度のオイルの使い分けについて、解説しましょう。基本的に指定された粘度を選択しますが、使用シーンや車種によっても違いがあります。

高粘度オイルがおすすめの場合

高温時でもオイルの硬さが十分にある高粘度のオイルは、暑い地域や夏場の使用に適しています。

高速道路での長距離移動が多かったり、長時間のドライブが多いなら高粘度のエンジンオイルが適しているでしょう。またスポーツカーも高粘度オイルを選択することがあります。

低粘度オイルがおすすめの場合

低温時の粘度が低いオイルは、ハイブリッド車やアイドリングストップ車に適しています。回転抵抗が少ないので、低燃費走行でメリットがあるからです。

ハイブリッド車は走行中にエンジンが停止したり、再始動したりとオンオフが多くなります。電気モーターのみで駆動させることもあるので、エンジンが停止している時間もあるのです。

エンジンの温度が上がりにくい特性をもっているので、低粘度オイルを使用して低温時にエンジンを保護します。

ベースオイルの違い

オイル

エンジンオイルのベースオイルは、大きく分けると3つに分類されます。

  • 全合成
  • 部分合成
  • 鉱物油

粘度の違いによる特性の違いだけでなく、ベースオイルと呼ばれるオイルの違いも考慮すべきです。

全合成

全合成のオイルは、不純物が取り除かれた合成オイルです。高度に精製されたオイルなので、低温時から高温時までパフォーマンスがよくなります。

ナフサとよばれる石油系原料から化学合成されたり、精製されることで、エンジン洗浄や潤滑の性能が高いオイルです。性能が高い分、コストも高くなってしまいます。

部分合成

鉱物油と合成油を混ぜたものが部分合成油です。鉱物油の劣化しやすいというデメリットを補うために、合成油が組み合わされます。

性能と価格のバランスが優れているので、普段使いで性能がよいオイルを入れたい方におすすめのオイルです。

鉱物油

蒸留して不純物を取り除き、精製されるオイルで、価格が安いオイルです。コストが抑えられる分、性能は他のベースオイルに劣る部分があります。

こまめにオイル交換をしたり、車の使用頻度が高くないなら選択できるでしょう。

オイル交換時の注意点

エンジンオイル

オイル交換時には、粘度が正しいものかをよくチェックしておきましょう。

オイルの粘度が異常なものかどうかを確認して、エンジンの状態にあったものにします。

オイル交換における粘度のポイント

エンジンのトラブルを避けるためには、メーカー指定されているオイル粘度にしておきましょう。車の性能を引き出すためには、指定された粘度を維持するのが大切です。

メーカー指定のオイルは低燃費性能が優れているので、コストがかかることもあります。それでも不具合を生じさせないためにも、指定された粘度やオイルがおすすめです。

もしエンジン負荷がかかりやすい高速道路や高回転の頻度が多いなら、メーカー指定よりも1つ粘度が高いオイルも使用できます。特に後半の2桁の数字は、高温時の粘度です。粘度を上げるなら、高負荷時の保護性能が高くなります。

メーカー指定の粘度から低粘度にするのはおすすめできません。メーカー指定で、2種類の選択肢があるなら、低粘度を選択できます。しかし指定された粘度よりも低い粘度にしてしまうと、パーツの破損を引き起こす可能性があるので避けましょう。

オイルの粘度が異常な場合のサイン

エンジンオイルの粘度に異常が生じて、劣化しているという判断は基本的にできません。色や粘度だけでオイルの状態を判断するのは、専門家でなければ難しいからです。

オイルが劣化して潤滑性や密封性が低くなると、エンジンのトラブルの原因となります。それで、オイルを抜き出して指でこすって新品時とのオイルの感触の違いを判断する必要があります。

しかし近年は低燃費走行のための粘度が低いオイルもあり、単純に触っただけでは判断しにくくなっています。見た目はさらさらとしているのですが、潤滑や密封性能が高いオイルもあるので、見た目や触った感覚では判断しにくいのです。

エンジンオイルと添加剤の関係性

オイル

添加剤を活用すると、エンジン内の洗浄や保護性能が向上します。走行距離が伸びてきた車であれば、オイルキャップやガスケットの劣化でオイル漏れを引き起こす可能性があります。

しかし添加剤を活用すると、劣化したガスケットやパッキンを膨張させる効果があり、エンジンオイルの漏れを改善する期待ができます。

添加剤を活用すると、粘度が調整されてエンジンコンディションに適したものにできるでしょう。経年経過した車なのか、もしくは高負荷運転が多いのかによって、オイル添加剤を活用するのはおすすめです。

適切なオイル交換の目安

エンジンオイル

適切なオイル交換の目安は、基本的にメーカー指定の距離や頻度で問題ありません。しかし街乗りなどのシビアコンディションで車を使っているなら、早めの交換をおすすめします。

エンジンオイルの状態を外から判断するのは難しいので、早めに定期的に交換しておくと、よい状態をキープしやすくなります。

カミタケモータースでは、4,000kmごと、もしくは半年ごとの交換をおすすめしています。

オイル粘度に関するよくある質問

オイルの粘度はどのように選ぶ?

メーカー指定のオイル粘度を選択するのがおすすめです。車を使用するコンディションによっては、高温時の粘度を高めることもできるでしょう。

オイル添加剤は必要?

シビアコンディションで使っているなら、オイルの粘度を高めるためにも、添加剤を活用できます。少しのオイル漏れであれば、改善することもあるので必要に応じて添加剤を活用するのもおすすめです。

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