車をキレイに保つのに大切な塗装やコーティング。どちらもボディを守るためにありますが、コンディションによっては再施工を考慮する必要があるでしょう。
しかし塗装とコーティングの違いについて理解していないなら、愛車を本当の意味でキレイに保つのは難しいでしょう。そこでこの記事では、愛車のメンテナンスで知っておきたい塗装とコーティングの違い、さらに施工方法について詳しくご紹介します。
愛車をキレイに保って気持ち良くドライブするためにも、ぜひ最後までご覧ください。
塗装とコーティングの違いは目的の違い
まずは車の塗装について理解しておきましょう。塗装は車体を保護する目的がありますが、表面に塗料が塗られ、その層によってボディを守ります。
金属部分が酸化しないためにも、塗装は不可欠です。塗装が剥がれてしまうと、そこから錆が発生してしまうので、塗り直しをしたり、再塗装をします。
コーティングは車体や塗装を守る大切な役割を持っています。砂や泥、小さな石ころによる傷や、塩分による腐食から車を保護します。さらに、紫外線や酸性雨から塗装を守り、色褪せや塗装剥がれを防ぐ効果も期待できるのです。
さらにコーティングを施工する別の目的は、汚れの固着防止です。コーティングを施すと、車体の表面が滑らかになり、鳥のフンや樹脂、花粉が付きにくくなります。これが、普段の洗車をぐっと楽にしてくれます。
そして、撥水という目的も大きなものです。高品質なコーティング剤は、水をしっかりと弾くことで、雨や洗車後に塗装面に残る水アカや塩分の堆積を防ぎます。水が玉状になりサッと流れ落ちる様子は、見ていても気持ちがいいものです。
これらの機能を通じて、コーティングは車の美観を長く保ちながら、ダメージを最小限に抑える役割を果たします。さらに、コーティングによって車体が艶やかになるのも、大きな魅力です。これで、車が好きな方々にとって、日々のカーライフがより楽しく、美しくなること間違いなしです。
塗装とは
車の塗装工程には、下地からクリアまでの重要なステップがあります。それぞれの工程をしっかり理解することで、塗装を美しく仕上げることができます。
塗装がどのような流れでできているか、工程順に紹介しましょう。
まず、「下地」作りです。これは塗装の土台となる部分で、フラットに仕上げることはもちろん、防錆効果を高めるためにも必要な工程です。下地用の塗料は、仕上げたい色とは異なり、通常はグレーなどが使用されます。
次に、「中塗り」です。これは下地の上に塗ることで、仕上がりをさらに良くするための工程。中塗りでは、下地に近い色や完成色に近い色が選ばれることがあります。このステップが上塗りの質を左右するため、美しさを追求するなら欠かせません。
そして、「上塗り」。これが最終的に見える色で、車のボディカラーとなる部分です。上塗りは特に丁寧に行う必要があり、ここで失敗すると色ムラや塗装ミスが目立ってしまいます。下地や中塗りがきちんとしていれば、上塗りもきれいに仕上がります。
最後に、「クリア」塗装です。これは色付きの塗装を保護するために行われる透明の層。小傷から塗装を守り、車体のツヤを一層引き出します。ソリッドカラーを使用する場合は必須ではありませんが、クリアを施すことでより長持ちし、美しさも増すものです。
このような工程を踏むことで、車の塗装は完璧に仕上がり、見た目にも大きな差が出ます。車を塗装する際は、これらのステップを一つ一つ丁寧に行うことが大切です。
コーティングとは?施工するメリット
ダメージを軽減
まず、車体や塗装へのダメージ軽減です。コーティングは、砂や泥、小石による傷や、塩分による腐食から車体を守ります。さらに、紫外線や酸性雨から塗装を保護して、剥がれや色褪せを防いでくれるのです。
コーティングも簡易コーティングから、ガラスコーティングがあり、特にガラスコーティングは硬さが特徴となっているものがあり塗装面を守ってくれます。
キレイを保つ
次に、汚れの固着防止です。コーティングすると、車体の表面が滑らかになり、鳥のフンや樹脂、花粉などが付着しにくくなります。これがあると、普段の掃除がずっと楽になります。
汚れが付着したとしても、洗車をすればすぐに落ちるようになるため、キレイな状態を維持しやすくなるのも特徴です。
撥水効果がある
そして、撥水で水滴を排除してくれるメリットがあります。高品質のコーティング剤は撥水性が高く、雨が降った後や洗車後に表面に水滴が残りにくくなります。水滴がすぐに流れ落ちるので、水アカや塩分の堆積も防げるのです。
コーティングは撥水効果だけではありませんが、撥水性が高いコーティングを選択できます。
コーティングのデメリット
デメリットもありますが、ガラスコーティングは、洗車を楽にして、美しい光沢を長持ちさせる効果があります。
まず、専門的な知識と技術が必要です。特別な道具を用意したり、適切な作業スペースを確保する必要があります。さらに、施工方法にも注意が必要で、正しく行わないとムラができたり、仕上がりが悪くなることもあります。
料金も考える必要があるでしょう。ガラスコーティングを綺麗に仕上げるためには、やはりプロに依頼するのが安心ですが、その分、料金は他のコーティングに比べて割高になることが多いです。
そして、「ガラスコーティングをしない方が良い」という話。これは、車が汚れていても気にならない方や、洗車をほとんどしない方には当てはまるかもしれません。
ガラスコーティングは汚れを簡単に落とせるようになりますが、汚れを放置するとコーティング層が劣化してしまい、持続期間が短くなってしまいます。コーティング後は定期的に洗車をし、水分をしっかり拭き取ることが大切です。
コーティングの種類
車のコーティングにはいくつかの種類があり、それぞれの特徴を知っておくと、愛車の使用環境に合わせて最適なタイプを選ぶことができます。
ポリマーコーティング
まずは、ポリマーコーティングです。これはポリマー樹脂を使ったコーティングで、ワックスよりは耐久性がありますが、大きな汚れや傷にはやや弱いです。持続期間は約3か月と短めです。
他のコーティングと比較して、安価に施工できるタイプのコーティング。コーティング効果はほどほどで、手入れの時間を減らしたい方におすすめのタイプです。
フッ素系コーティング
フッ素コーティングは手軽なスプレータイプもあるコーティングです。フッ素樹脂を使用し、特に撥水性が高いですが、傷への耐性は低いです。このタイプの持続期間は1~3カ月です。
その他のコーティングと比較した特徴は、非粘着性や撥油性、さらに耐熱性もあります。ポリマーコーティングと同じように、柔らかい皮膜なので定期的なメンテナンスが必要なタイプです。
ガラス系コーティング
ガラス系コーティングは保護膜の一部にガラス成分が含まれており、ガラスコーティングに比べると性能は劣りますが、コストは抑えられます。持続期間は約6カ月となっています。
本格的なガラスコーティングでは、100%ガラス成分の保護膜を形成します。耐久性や撥水性に優れていますが、施工には費用や手間がかかります。持続期間は3~5年です。
セラミックコーティング
最後に、セラミックコーティング。これは金属や酸素などの化合物で形成される保護膜が特徴で、非常に耐久性が高いです。小さな傷なら熱で治る自己修復性能を持っていますが、ガラスコーティングよりも施工にはより多くの費用と手間が必要です。持続期間は5~7年と長いです。
劣化しづらいコーティングなので塗装面を保護してくれるのが特徴。しかし約15万円からという高額な施工費用がネックとなるでしょう。
コーティングの施工方法
ガラスコーティングの作業内容について、わかりやすく説明します。
この作業は車の状態によって、時間がかなりかかることがあります。しかしコーティングの仕上がりに、下地処理は重要です。洗車や鉄粉除去に時間をかけておきましょう。
洗車・鉄粉除去・拭き取り
まず、ボディ全体の砂埃や汚れを洗車で落とします。その後、鉄粉除去剤や鉄粉を取る粘土を使って、ボディに付着した鉄粉を除去します。
鉄粉除去が完了したら、水垢やイオンデポジット(塗装面の水シミ)、油膜汚れを専用の除去剤で落としましょう。汚れの種類に合わせて適切な除去剤を選ぶことが大切です。
洗剤には長時間放置すると、塗装面にダメージを与えるものもあります。注意書きをよく確認して、正しい方法で施工しましょう。
研磨
次に、ボディの小さな傷やシミを除去するために研磨します。研磨剤をスポンジに付けて手で塗装面を磨くか、ポリッシャーを使用して機械的に磨き上げます。
手磨きでも施工でき、コンパウンドよりも小さな粒子が含まれているタイプも選択可能です。仕上がりに不安であれば、塗装面に優しいタイプを利用しましょう。この工程が、コーティングの仕上がりに大きく影響します。
脱脂
塗装面の汚れを完全に落とし、コーティング剤がしっかりと定着するようにするための脱脂作業を行います。脱脂が不十分だと、コーティングの効果が十分に得られないこともあるので、脱脂クリーナーを使用することをおすすめします。
ガラスコーティング剤の塗布
最後に、ガラスコーティング剤を塗布します。製品によっては、均一に塗るためにパートごとに分けて塗るタイプもあります。自分に合った製品を選び、商品の説明書に従って正確に施工することが重要です。
仕上がりを気にして厚塗りすることがありますが、しっかり拭き取れないとムラになることがあります。説明書に記載されている内容に沿って、丁寧に作業しましょう。
キレイを維持するなら再塗装?コーティング
再塗装をすると、車がきれいになるので経年劣化した車のメンテナンスとして考える方もおられるでしょう。
しかしコーティングをすることでも、塗装面の見た目を回復させることは可能です。ただし表面にコーティングして保護膜が作られ、艶が回復するため本当の意味で修理しているわけではありません。
再塗装なら塗装自体を塗り替えるので、新車のような輝きになります。新車のような塗料ではないので、耐久性の面ではオリジナルの塗装よりは弱くなるのが懸念点です。
そのため、少し劣化している程度なら再塗装よりもコーティングが適していることもあるでしょう。
再塗装のメリット・デメリット
再塗装のメリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
経年劣化した色合いを戻す
車の塗装も他のパーツと同様に経年劣化します。劣化の主な原因は紫外線や花粉、鉄粉、鳥のふんなどですが、特に紫外線が塗装の分子を破壊することで、新車時の光沢が失われます。
全塗装をすれば、新車当時の色合いを取り戻すことができるでしょう。
車を好きな色にできる
再塗装なら、自分の好きな色に変更できます。少し気分を変えたいときはもちろん、乗り替えたような新鮮さを味わうこともできます。
車のカスタムを考えているなら、再塗装のタイミングでボディカラーを変えたり、アレンジしたりできるでしょう。
好みが変わっても買い替える必要がない
車を購入した後で他の色がよかったと思ったり、購入当時に流行していた色だから選んだ方もいるでしょう。年月が経つと好みが変わることもありますが、全塗装なら買い替えずにその時の好みに変更できます。
メーカー指定の色だけでなく、自分の好みの色に変更できるのも魅力です。
デメリット
査定金額に影響する可能性がある
車を売却する際、再塗装の質が査定額に影響することがあります。業者に依頼しても、メーカー製造時と同じクオリティに仕上がるとは限りません。施工の質が低いと耐久性がないと判断される場合もあります。
再塗装で仕上がりがキレイだといっても、純正のような耐久性にはなりません。そのため査定額に影響がでることがあるのです。
費用がかかる
再塗装にはそれなりの費用がかかることを理解しておく必要があります。費用を抑えようとすると、塗装の質が落ちることもあるため、全塗装にかかる費用と質については慎重に判断することが大切です。
コーティングの後に汚れが目立つ理由
手入れの頻度が少ない
単純に手入れの頻度が少ないとコーティングの上に汚れが乗ってしまい、目立ってしまいます。コーティングをすればノーメンテナンスでも大丈夫と感じる場合がありますが、汚れを除去しておかなければ、汚れや水シミが目立ちやすくなるという悪循環になります。
洗車後に拭き上げしていない
洗車をした後に拭き上げしないと水シミが残りやすくなります。水道水でも水的な残った状態で乾いてしまうとどうしても水シミになることも。
洗車をした後にはしっかりと拭き上げをしておき、汚れが付着しにくい状態をキープします。
雨の後に洗車していない
雨が降った後には洗車をして雨水を流しておく必要があります。雨水にはミネラルやほこりなど、蓄積すると頑固な汚れになる元が含まれています。
固着する前に洗車をして、汚れを洗い流す必要があるのです。特に暑い季節になると、ボディがすぐに乾いてしまい、塗装面も高温になるので早めの洗車が不可欠です。
コーティングを施工できる場所・費用
車のコーティングができるのは、カーディーラーの他にコーティング専門店やガソリンスタンド、カー用品店があります。
それぞれの業者によって費用は異なりますが、コーティングの種類別の費用相場は以下の通りです。
コーティング | 費用相場 |
ワックス | 2,000円~ |
ポリマーコーティング | 1万円~ |
フッ素コーティング | 3万円~ |
ガラス系コーティング | 3万円~ |
ガラスコーティング | 7万円~30万円 |
セラミックコーティング | 20万円~30万円 |
カーディーラーであれば新車時にコーティングしてもらえるので、キレイな状態を維持しやすくなります。しかしディーラーはコーティング専門店のような仕上がりは期待できません。
徹底した下地処理や鉄粉除去を期待するなら、専門の作業設備がある専門店に依頼するのがよいでしょう。その場合は、施工費用も高額になります。
自身が重視したいポイントや予算に合わせてコーティングを施工できるでしょう。
コーティングを活用して愛車をキレイに!
車の塗装面の状態によっては再塗装を検討できます。板金などを行えば、再塗装する部位も出てきますが、劣化している状態ならコーティングを施工することで、見た目をよくできる場合もあるでしょう。
また、コーティングは種類によって特徴が異なるため、メンテナンス環境や頻度を考慮してどのようなコーティングを施工するのか決定するとよいでしょう。コーティングを活用して、愛車をキレイな状態に保ちましょう。