追い越し・追い抜きをするとだめ?違いや標識、罰則を解説

追い越し 追い抜き

車を運転していると前走車に追いついてしまうことがあります。前走車の前に出るには、「追い越し」か「追い抜き」をする必要があるでしょう。

同じように感じるこの2つの言葉ですが、大きな違いがあります。この記事では、追い越しと追い抜きの違いやどのようなシーンで行ってよいのか解説します。

目次

「追い越し・追い抜き」とは?

道路

「追い越し・追い抜き」とは、遅れている車両をより速い速度で前に出ることを指します。この行為は、自分の車両が先行車両より速く移動することが安全であると判断された場合に限り実施されます。

運転者は前方の車が十分に遅い速度であること、追い越しの間に対向車線に入る余裕があること、そして追い越し後に再び車線に戻るスペースが確保されていることを確認する必要があるでしょう。追い越し行為は、適切な路面標示や道路標識が示す許可された区間でのみ行えます。

追い抜きは、簡単に言うと進路変更をせずに車両を追い抜くことを意味しています。ウインカーを出さずに、同一車線のまま前方の車両を通過していくことです。

「追い越し」について

道路

「追い越し」が許される状況

追い越しは、先行車が遅い速度で走っていたり、停車しているときに行われます。しかし、この行為は道路交通法によって規制されており、追い越し可能な状況を見極めて行う必要があります。

追い越し車線が設けられた高速道路、または適切な標識や路面標示が示す区間でのみ許可されます。さらに追い越しをする場合も常に安全を最優先し、前後の交通の流れを確認し、十分な視界と距離を確保する必要があります。また、天候や路面状況も考慮することが重要です。

「追い越し」の注意点

追い越しを行う際には、多くの注意点があります。まず、追い越しは右側から行う必要があります。左側からの追い越しは、原則禁止されております。

追い越しを行う前には、サイドミラーやバックミラー、最後には目視を行い、周囲の車両や歩行者に配慮する必要があります。追い越し中には、加速して素早く車両を追い越すことが求められ、追い越し後の車線復帰もスムーズに行わなければなりません。

特に交通量が多い時や視界不良の状況下では、追い越しを控える判断が必要です。安全性を確保するため、法定速度を超えての追い越しは避け、常に冷静な判断を心がけましょう。

「追い抜き」について

道路

「追い抜き」が許される状況

「追い抜き」は交通法規に基づき、特定の条件下でのみ許される運転操作です。一般的に、高速道路で、2車線あり、追い越しと判断されない状況なら可能です。

というのも道路交通法において、追い抜きに関する規定がないため、禁止されている訳ではありません。

しかし片側1車線の一般道で追い抜きをしてしまうと、路肩走行となるため禁止されています。

もし片側2車線あるなら、左側から追い抜きするシーンもあるでしょう。たとえば、右折待ちの車が右車線で減速を始めたなどの例です。

一般道では左側からの追い抜きが必須となるシーンがあります。

「追い抜き」の注意点

「追い抜き」を行う際には、最大限の注意を払う必要があります。常に安全な追い抜きかどうかを判断し、特に対向車の有無を確認すべきです。

横断歩道や自転車横断帯とその手前から30m以内の場所は、「追い越し」も「追い抜き」もできないため注意します。

追い抜きは明確な定義がない行為です。前後に車線変更が伴っているなら「追い越し」と判断される場合があるので注意しましょう。

また基本的にキープレフトは必要な概念です。左から追い抜くというよりも、スムーズに交通状況が流れているなら左側を走行し続けるようにしましょう。

高速道路での「追い越し」と「追い抜き」

道路

高速道路での「追い越し」

高速道路における「追い越し」は、右側の車線を使用して先行する遅い車の前に出る行為です。これは、法律で定められた追い越し車線、通常は最も右側の車線で行われるべきです。運転者は追い越し前に十分な視距離と後方からの車両を確認し、安全に車線を変更できることを確認しなければなりません。

また、追い越し後は速やかに元の車線に戻ることが求められます。追い越し禁止区間や一定の状況下での追い越しは避ける必要があります。

さらに追い越しされる側は、追い越しが終わるまでは速度を上げてはいけません。また、追い越しをする場合は、自車の速度にも注意しておきましょう。

高速道路での「追い抜き」

高速道路で左から「追い抜き」するのは、交通違反にはなりません。道路交通法で追い抜きを規制する内容は含まれていないので、禁止されていません。

既述したように追い抜きは進路変更されないので、左車線を走っていて前方の異なる通行帯を走っている車の前に出てもよいのです。

しかし前方の車両を追い抜いてから、前方の車両と同じ車線に車線変更すると、左からの「追い越し」と判断される可能性があります。

「追い越し・追い抜き」が禁止されている場所と状況

道路 追い越し禁止

「追い越し」が禁止されている場所や状況は、交通安全と流れを保つために厳格に定められています。

追い越しができない区間

  • 追い越し禁止区間
  • 道路の曲がり角
  • 上り坂の頂上付近
  • トンネル(車両通行帯がある場合を除く)
  • 交差点とその手前30m以内

追い越し禁止区域は、視界が不十分なカーブ、坂道の頂上近く、交差点、鉄道の踏切、狭い橋、トンネル、歩行者横断道など、安全な追い越しが困難または危険な場所で設定されています。また、道路上の標識や路面の線が追い越し禁止を示している時もその範囲内では追い越しをしてはなりません。

さらに、周囲の交通が密集している場合や、悪天候で視界が悪い時、道路の状態が悪い時も追い越しは避けるべきです。安全な追い越しは状況判断が必要であり、交通規則を守ることが最優先されるべき行動原則であることを意識しなければなりません。

一方で追い抜きに関しては、明確な禁止規定はありません。高速道路では左側からの追い抜きであれば問題ありませんし、一般道でも路肩走行でない限り追い抜きは問題なく行えます。

追い越し・追い抜きの違反時の罰則

道路 追い越し禁止

「追い越し」違反をした場合、道路交通法では以下のような罰則が定められています

  • 反則金:普通車の場合、9,000円
  • 点数:2点

これらの罰則は、追い越し禁止の標識やセンターラインを無視して追い越した場合、または追い越し禁止の場所や状況で追い越した場合に適用されます。

路側帯を走行して追い抜きをすると、通行区分違反となり上記と同じ罰則です。

追い越し・追い抜き時の危険

道路 追い越し禁止

対向車との距離の見誤り

追い越しを行う際、最も一般的な危険の1つが対向車との距離の見誤りです。遠くに見える車も実際には高速で近づいていることが多く、追い越しのために対向車線に出た時に十分な距離がないと、非常に危険な状況を招く可能性があります。そのため、追い越しをする前には、対向車の速度と距離を正確に判断する必要があります。

特に対向車線を走っているのが二輪車の場合は、速度を見誤ってしまうことがあるため注意しましょう。また、追い越すのがトレーラーの場合には、けん引している車両が長い可能性があることも覚えておきましょう。

サイドミラーや後方視界の確認不足

追い越しを行う際、サイドミラーや後方視界を十分に確認しないことも危険です。特に、後方から迅速に接近してくる車両を見落とすことは、追い越し時に衝突事故を起こすリスクを高めます。常に全方位の視界を確認し、安全な車線変更を心がけることが重要です。

サイドミラーやルームミラーで確認していても、ミラーに映らない死角があることを意識して、目視をしっかりと行いましょう。

加速性能の過大評価

自車の加速性能を過大評価すると、追い越しや追い抜き時に予想外の状況に陥ることがあります。特に上り坂や重い荷物を積載しているときには、予想よりも加速が鈍くなることがあり、追い越しに必要な時間を見誤ると危険です。自車の性能を正しく理解し、余裕を持った追い越しを行うべきです。

エンジンの特性やハイブリッドの有無によって加速性能が異なります。追い越しできるのか、道路状況と加速性能をしっかりと見極めましょう。

安全な追い越し・追い抜きの方法

道路 追い越し禁止

安全な追い越し・追い抜きを行うためには、まず、法的な許可と交通状況を確認します。追い越し車線を使用し、十分な視距離が確保されていることを確かめた後、明確な信号を出して意思表示を行います。

追い越し時はスムーズかつ迅速に加速し、車線変更は慎重に行い、一旦追い越しを完了したら、速やかに元の車線に戻ることが求められます。

適切なタイミング

追い越し・追い抜きを行う際の適切なタイミングは、交通法規と安全が最優先です。対向車がいない、追い越し車線が明確である、前方の車両が一定の速度で運転されている、といった条件下でのみ行います。

また、交差点やカーブの手前では追い越しを行わず、直線路で安全確認ができた際に追い越しします。

追い越しが可能な状況でも、後方からの車両の接近具合を確認して、追い越しできる十分な時間があるか確認しましょう。

正確な距離感の取得と確認手段

追い越し・追い抜きには、正確な距離感が必要です。これを得るためには、サイドミラーやリアビューミラーを適切に調整し、常にクリアな後方視界を確保することが重要です。

加えて、サイドミラーだけでなく、目視をしっかりと行い、死角になっている部分を確認することで、追い越し・追い抜き時の安全をさらに高められます。

ブラインドスポットの認識

追い越し・追い抜き時に特に注意すべきはブラインドスポットの存在です。これは、車両のミラーでは視認できない領域のことで、このエリアに他の車両が隠れていると、追い越し時に衝突する危険があります。

ミラーの確認に加えて、肩越しに後方を確認することで、ブラインドスポットを認識し、追い越し・追い抜きの安全性を向上させることができます。

また車両によっては、カメラやセンサーで後方の車両を検知してくれる機能が搭載されている場合もあるでしょう。死角になる部分を把握して、事前にチェックしておきましょう。

追い越し・追い抜きにおける先進技術の活用

近年、追い越し・追い抜きの安全性を高めるために先進技術が多くの自動車に組み込まれています。たとえば、アダプティブクルーズコントロールは、追い越し時に前方の車との距離を自動で調節し、適切な速度で安全に走行できます。

また、追い越しが必要ならブラインドスポットモニタリングシステムは、ドライバーが視覚で捉えにくい範囲にある車両を検出し、警告を与えることで、追い越しを決行するかどうかの判断材料を提供します。

さらに、レーンキーピングアシスト機能は、不意の車線逸脱を防ぎ、追い越し後の車線復帰を支援します。これらの技術は、ドライバーの運転を補助し、追い越し・追い抜きに関連するリスクを大幅に軽減することに貢献しており、より安全なドライビング環境の実現を促進しています。

新しい車であれば、運転支援システムが搭載されていることが多く、安全に走行したり追い越しできるでしょう。

安全機能が搭載された車の試乗動画はこちら

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